ジャパンラグビーコーチングアワード2018 最優秀賞は明治大学の田中澄憲監督
日本ラグビー協会は4月18日、「ジャパンラグビーコーチングアワード2018」の受賞者を発表した。
この表彰制度は昨年度に制定したもので、ラグビー指導者の資質向上の啓発と、学習意欲の高い指導者コミュニティ創出を目的としている。
2018年度の最優秀賞は、明治大学を22年ぶりの大学日本一に導いた田中澄憲監督が受賞。特別大賞には、10月にアルゼンチンのブエノスアイレスで開催されたユースオリンピックで銅メダルを獲得した、男子セブンズユース日本代表の梅田紘一監督が選ばれた。
<ジャパンラグビーコーチングアワード2018 受賞者>
【最優秀賞 The Coach of the Year】
・田中澄憲 氏(明治大学)
<理由>
選手個々とのコミュニケーションを充実させ、優勝するためのマインドセットを選手に植え付けることで、自立したチームを作り上げ、22年ぶりの全国大学ラグビー選手権大会優勝を果たした。
<受賞コメント>
この度は大変栄誉ある賞を賜り、ありがとうございます。改めて大学関係者、応援してくださったファンの皆さまに感謝申し上げます。この賞は、22年ぶりの大学日本一が皆さまから評価され受賞できたと思っております。何よりも学生の努力と頑張り、それを献身的に支えたスタッフのハードワークが最高の成果として現れたことに喜びを感じております。この賞にふさわしいチームとして、部員全員で更に真価を追求してまいります。
【特別大賞 The Coach of the Year, Especial Honors】
・梅田紘一 氏(男子セブンズユース日本代表)
<理由>
選手との対話を重視したコーチングで第3回ユースオリンピック競技大会銅メダルを獲得した。強豪の南アフリカ代表に2度勝利を収めたことは日本ラグビーにとっての大きな進化であり、誇りとなった。
<受賞コメント>
このような賞を賜り、大変光栄に思います。ユースオリンピックでの銅メダルは、「未来を、変える」というスローガンのもと、選手・スタッフがファミリーとなって、勝ち取ることができました。選手たちのこれからの成長を楽しみに、私も東京2020オリンピックへ向けてより一層選手とともに頑張っていきたいと思います。
【優秀賞 The Outstanding Coach of the Year】
・フラン・ルディケ 氏(クボタスピアーズ)
<理由>
ヘッドコーチとして就任3年目にして、選手およびスタッフを束ね、チームを同じ方向に向かわせることで、安定的に勝利を重ね、チームを上位ランクに引き上げた。
<受賞コメント>
このようなコーチングアワードをいただき大変光栄に思いますし、日本ラグビー協会には、他にも素晴らしいコーチたちがいる中で私を選んでくださったことに感謝しています。クボタスピアーズファミリー、コーチ陣、選手たち、そしてチーム幹部には、シーズンを通してチームの全員が一貫したハードワークをしたことで受賞ができたこと、ありがとうと言いたいです。過去3年間でフィールド内外を問わず、選手・スタッフの中で多くの成長を見てきましたし、それはクボタスピアーズの未来に向けてエキサイティングな気持ちにさせてくれます。最後に、妻のアネリアと私たちの素晴らしい子どもたちには日頃からのサポートと犠牲、特に精神面でのバックアップをしてくれたことに感謝したく、また神様にも感謝しています。KOREKARADA(これからだ)と信じています。
・小松節夫 氏(天理大学)
<理由>
関西大学リーグでの優勝に続き、第55回全国大学ラグビー選手権大会準決勝では10連覇を狙う帝京大学を圧倒し、決勝戦では明治大学に敗れたものの最後まで粘り強く果敢に攻める姿は、日本中のラグビーファンに多くの感動を与えた。
<受賞コメント>
コーチングアワード優秀賞の受賞を大変光栄に思います。優秀なスタッフとひたむきな学生たちに恵まれたおかげです。今後もチームとともに成長できるよう精進していきたいと思います。ありがとうございました。
・綾部正史 氏(大阪桐蔭高校)
<理由>
ラグビー競技だけでなく、オフ・ザ・フィールドの重要性を説き、選手の自主性を活かすこととフィジカルトレーニングで徹底的に心身を鍛え、昨年度の準優勝からさらなる進化を見せ、第98回全国高校ラグビー大会で初優勝を飾った。
<受賞コメント>
思いがけず、名誉ある賞をいただきまして、誠にありがとうございます。2018-19シーズンでは念願の全国優勝を成し遂げることができましたが、これもひとえに関係の皆様方のご指導の賜物と深く感謝しております。今後もラグビーに真摯に向き合い、その素晴らしさを発信し、少しでも恩返しができますよう、引き続き生徒とともに精進してまいります。本当にありがとうございました。
・稲田仁 氏(女子セブンズ日本代表)
<理由>
各国が東京2020オリンピックに向けて重点的な強化を図っているセブンズにおいて、ラグビーだけでなく、メンタル面にも成長を遂げ、第18回アジア競技大会において初制覇を果たし、その後に続いたアジアラグビー女子セブンズシリーズ3大会でも完全優勝を果たした。
<受賞コメント>
JRFUコーチングアワード優秀賞の受賞を大変光栄に思います。2018年は若い選手たちが日本を背負い多くの目標を達成してくれました。東京2020オリンピックに向けて選手・スタッフともに日々、目標に向かってチャレンジを続けています。高い目標に挑戦することで人間的にも大きく成長できると信じています。同大会で目標を達成し多くの方々に勇気や感動を与え、努力を継続することの価値を示せるよう日々の努力を積み上げていきたいと思います。これからもサクラセブンズへの変わらぬご声援をよろしくお願い致します。
【変革賞 The Change Coaching Award of the Year】
※ チームに変革を起こし、これまでのチーム力を明らかに飛躍させた指導者に贈られる賞。
・デーブ・ディロン 氏(神戸製鋼コベルコスティーラーズ)
<理由>
伝統との融合を図り、チームに新たな文化を作りながら世界的な才能集団にまとめ上げ、15年ぶりのトップリーグ優勝へ導いた。
・相亮太 氏(流通経済大学付属柏高校)
<理由>
フィジカルの強さが武器だったチームから、個々の判断力を鍛え、スペースを巧みに突くラグビーにレベルアップさせ、アシックスカップ2018 第5回全国高校7人制ラグビー大会の優勝に加え、初の全国高校ラグビー大会ベスト4に進出させた。
・品川英貴 氏(長崎北陽台高校)
<理由>
部員数が少ない公立高校において、唯一の全国高校ラグビー大会ベスト8 に進出させた。独自に創意工夫されたアタックは全国の指導者の手本となった。
・森弘暢 氏(奈良工業高等専門学校)
<理由>
伝統の前に出るディフェンスを復活させ、接戦をものにして第49回全国高等専門学校ラグビー大会でチームを9年ぶりに優勝に導いた。
【フロンティア賞 The Frontier Coaching Award of the Year】
※ ラグビーの中央勢(関東・関西の優勢)に対して、地方からの果敢なチャレンジと開拓の精神で、新しいラグビー文化を全国にアピールした指導者へ贈られる賞。
・松本剛徳 氏(玉島高校)
<理由>
限られた戦力で地道にかつ果敢にチャレンジするラグビーを貫き、岡山県勢としては、48大会ぶりに全国高校ラグビー大会ベスト16に進出させた。
・佐々木陽平 氏(静岡聖光学院高校)
<理由>
学校の方針により部活動の時間が極端に短い環境において、選手主体の工夫に満ちたチーム作りを実践。全国初の「部活動サミット」を生徒主導で開催し、効率的な部活動のあり方を社会に発信した。
【スキルコーチング賞 The Skill Coaching Award of the Year】
※ チーム全員のスキルレベルを著しく伸ばし、選手個々の強みを十分に引き出した指導者に贈られる賞。
・江添大輔 氏(全国ジュニア・ラグビー大会 長崎県代表)
<理由>
ひたむきで堅いディフェンスと質の高いハンドリングを軸に、全員の意思統一が図られた一体感で見ている人々に感動を与えた。
・永田眞一郎 氏(全国ジュニア・ラグビー大会 鹿児島県代表)
<理由>
選手個々の個性を十分に活かし、大胆でチャレンジングな力強いラグビーを披露した。
・芥川俊英 氏(全国ジュニア・ラグビー大会 茨城県中学校代表)
<理由>
安定的なスキルと規律の高いチームとして、第24回全国ジュニア・ラグビー大会では第2ブロックで優勝を果たした。また、第38回東日本中学校ラグビー大会では茗渓学園中学校を率いて優勝を勝ち取った。
・古賀千尋 氏(日本体育大学ラグビー部女子監督)
<理由>
キックコーチやラインアウトコーチを起用するなど、独自のマネジメントを活かし、昨年度から更にレベルアップしたチームは、第5回全国女子ラグビー選手権大会(一般の部)で優勝、太陽生命女子セブンズシリーズ2018年間総合優勝を果たした。
【特別賞 The Special Coaching Award】
・ケビン・オアー 氏(車いすラグビー日本代表ヘッドコーチ)
<理由>
メンタルの重要性を選手に浸透させ、強敵のアメリカ代表、オーストラリア代表を下し、車いすラグビー世界選手権の優勝を勝ち取った。
【日本代表カテゴリーコーチ賞 The Sakura Coaching Award of the Year】
・里大輔 氏(日本代表ラグビー協会スピード&ムーブメントコーチ)
<理由>
世代をまたいでスピード&ムーブメントの改善に取り組み、U16ブロックからU17日本代表、U19日本代表、U20日本代表ともに世界での結果を残した。
・太田千尋 氏(日本代表ストレングス&コンディショニングコーチ)
<理由>
自チームだけにとどまらず複数チームへの指導、更に、地域へのアプローチを積極的におこないラグビー界の発展に大いに貢献した。
≪選考プロセス≫
技術委員会の中に「コーチングアワード選考委員会」を設置し、選考基準をもとに候補者の選出をおこなう。
≪選考基準≫
(1)選手個々の資質を開花させ、最大限のパフォーマンスを発揮することで、チームの勝利に貢献した指導者
(2)独自のコーチング哲学を掲げ、体現し、結果とともに他の指導者への影響度が高い指導者
※「指導者」とは、ラグビーコーチのみならずストレングス&コンディショニングコーチやアナリスト等の指導に関連するスタッフを含む。
■選考委員会委員
・中山光行 技術委員会委員長
・中竹竜二 技術委員会副委員長
・山神孝志 技術委員会委員、強化副委員長(ユース統括)
・野澤武史 技術委員会委員
・今田圭太 技術委員会委員