ブラジル生まれ大阪育ち。金光藤蔭・バッソビトロランザ。
スピードとフィジカルの合わせ技で何度も突破した。
桐蔭学園の大会3連覇で幕を閉じた第20回全国高校選抜ラグビー大会。
西の推薦枠で初出場した大阪・金光藤蔭は、予選リーグ第1戦の3月30日、宮﨑・高鍋に29-26で競り勝ち、記念すべきセンバツ初勝利を挙げた。
この試合で2トライを挙げる活躍を見せたのが金光藤蔭のNO8バッソビトロランザ(3年)だ。
後半26分には、自陣スクラムからのサイド攻撃で敵陣深くまでひとりでボールを運び、LO谷本佳生(3年)のトライの足場を築いた。
「今日はチームが一体となって、全体の力を出し切れました」
チームのセンバツ初勝利に貢献したエイトマンは、爽やかな笑顔だった。
個人の出来は100点満点に見えたが、自己評価はすこし厳しかった。
「いつもはもうすこし良いんですけど、ミスが多かったので80点です。ボールをしっかりキープできなかったので、そこが反省点です」
ブラジル人の両親のもと、ブラジルで生を受けた。
ただ家族で移住した2歳の頃からずっと大阪だから、本人の意識は「地元の東大阪のラーメンが大好き」な大阪の高校生。楕円球とは中学で出会っている。
「ラグビーは孔舎衙(くさか)中学校の2年生のとき、スクールではなく、学校の部活動で始めました。もともとサッカー部に入っていたんですが、タッチフットをやっていたら『足が速いから』という理由で、ラグビー部に誘われました」
コンタクトスポーツにはすぐフィットできた。もしかしたら、父から指導を受けてきたスポーツのおかげかもしれない。
「父親はブラジリアン柔術の先生です。柔道と似たスポーツで、もともと自分もずっとやっていました」
昨年はブラジル代表がマオリ・オールブラックスやアメリカ、カナダ相手にスクラムで圧倒するなど、その強靱さ、ラグビーとの親和性が注目を集めているブラジル。
そんなブラジルの根っこを持つNO8は、「体幹が強くスピードがあります」(金光藤蔭・久保玲王奈監督)。予選リーグ最終戦の本郷(東京)戦ではウイングとして登場し、鋭いランも披露した。
「ラグビーで生きていきたいです。できるだけ」
将来の希望を尋ねられた快足ランナーは、そんな気持ちのこもった言葉を発した。
ブラジルと大阪の熱い血で、これからもラグビーに邁進していく。