コラム 2019.03.27

【ラグリパWest】「本当にいい男」(下) 藤田雄一郎/東福岡高校監督

[ 鎮 勝也 ]
【ラグリパWest】「本当にいい男」(下) 藤田雄一郎/東福岡高校監督
花園での藤田雄一郎監督。鋭い視線をグラウンドに向ける。(撮影/松本かおり)



  東福岡でのコーチ時代、藤田雄一郎は特に探求心が旺盛だった。
 土井崇司は以前話したことがある。
「部員たちにしゃべってると、気がつけば後ろに藤田君が立っている。『おまえ、なんでここにおるんや』って言ったら、いっつもニヤッーと笑っとったねえ」

 東海大付属の仰星で花園優勝5回の礎を築き、今は相模の総監督として強化に携わる人物にも若き日の藤田は残る。
 仰星2代目監督の湯浅大智は親しみを込め、「ユーイチローさん」と呼んでいる。

 藤田は土井が以前に著した2冊の『もっとも新しいラグビーの教科書』(ベースボール・マガジン社)を熟読した。
 編集に携わった直江は証言する。
「中には付箋が貼ってあったり、書き込みがいっぱいありました」
 そのため、本は借りず必ず買う。ライバルからも学ぶ姿勢がこの人の特徴だ。

 趣味は読書である。
 ラグビーの専門書だけではなく、小説やビジネス、宗教書などにも目を通す。
「すごいと思いません? 1500円くらいでいろんなところに行って、いろんな人と会えるんですからね」

 特に感銘を受けたのは司馬遼太郎の『竜馬がゆく』(文藝春秋社)。明治維新の功労者である土佐人・坂本竜馬を軸に、男たちの生きざまが描かれている小説だ。
「今まで4回くらい読み直しました。その年齢によって感じ取り方や良さが違う」
 生き方を確かめる指標ともなる。

 書籍に没頭する時間などを作るため、基本的には午前4時に起床する。
「朝は誰にも邪魔されません。ジムに行ったり、グラウンドを走ったりもします。6時30分には学校に来ています。朝練習をする部員に付き合ってあげないといけないので」
 藤田は身長178センチ、体重90キロ。現役時代から体つきは変わらない。
「永遠の90キロです」
 学生時代から自分への厳格さは続いている。

 教員や監督としての1日を終えると夫人と二児が待つ家に帰る。疲れは晩酌で取る。ハイボールと刺身の組み合わせがお気に入りだ。
「ウイスキーはジャパン(日本製)です。生のサバが好きですね」
 午後11時には眠りにつく。
「練習が終わったら、出し尽くしているので」
 睡眠5時間ほどで翌朝を迎える。

 藤田は1955年(昭和30)の学校創立時にできたラグビー部とともに、別の伝統も守る。
 博多祇園山笠。
 700年以上の続く九州、いや日本を代表するお祭に毎年参加する。舁き山(かきやま)と呼ばれるみこしをかつぐ。博多駅前などには、観賞用に歴史物などで彩られた飾り山と呼ばれる山笠が立てられる。

 博多の地域祭りのため、参加できるのは住民が中心になってくる。藤田は7つある舁き山を持つグループのうち、西流(にしながれ)に属する。
「3歳からお世話になっています。祭りの間は早退したり、遅刻したり。その時期はラグビーより大切です」
 祭りは7月の上旬に半月ほど続く。


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