ハイネケンカップ準決勝へ　クレルモンがレンスターの連覇止める？

　欧州最強クラブ決定戦のハイネケンカップは、今週末に準決勝２試合が行われる。イギリスの最大手ブックメーカー『ウィリアムヒル社』が25日に発表した優勝予想最新オッズは、連覇を狙うレンスター（アイルランド）が2.37倍で１番人気。対抗馬はクレルモン・オーヴェルニュ（フランス）の2.62倍で、アルスター（アイルランド）が4.00倍、エディンバラ（スコットランド）が15.00倍と続いた。

　28日にダブリン（アイルランド）で開催される準決勝第１試合は、「アルスター対エディンバラ」というカードになった。セルティックリーグで両者は今季２度対戦しており、どちらもアルスターに軍配が上がっている。
　13年ぶりの栄冠獲得に燃えるアルスターだが、2011年ワールドカップ優勝メンバーの元オールブラックスPRジョン・アフォアが準々決勝マンスター戦での危険なタックルにより出場停止中のため、フロントローの戦力が落ちた。他のインターナショナルメンバーでは元南アフリカ代表のNO8ペドリ・ヴァネンバーグがFW戦の鍵を握るが、今季限りで退団（仏カストルへ移籍）することが決まっており、ファイナルステージへの思いは強い。また、走力が高いFLスティーヴン・フェリス、ブレイクダウンに強いFLクリス・ヘンリーと、バックローは揃っている。
　経験豊かな南ア人は中団と最後尾にもおり、SHルアン・ピナールの統率力とFBステファン・テルブランシュのカバーリングにも注目が集まる。準々決勝で鮮やかな個人技トライを決めたWTBクレイグ・ギルロイの走りにも期待大。

　一方、準々決勝で、歴代最多の優勝４度を誇るトゥールーズ（フランス）を破ったエディンバラは、初の４強入りで、しかもスコットランド勢初の優勝がかかっている。先週末のセルティックリーグでは先発候補を全員休ませ、この一戦に狙いを絞ってきた。
　キーマンは６月のスコットランド代表入りが濃厚なオランダ出身のWTBティム・フィサー。セルティックリーグで３季連続トライ王が確実な空飛ぶウィングは、今季ハイネケンカップでは７試合で４トライと勝負強さを見せており、大一番でも５点をもぎとりたいところだ。
　また、約10年間在籍し、エディンバラの主力として150試合以上に出場してきたスコットランド代表SHマイク・ブレアーが、今シーズン終了をもって生まれ育った町を離れると発表しており（仏ペルピニャン移籍が濃厚）、サポーターとともに悲願の初優勝に燃えている。

　準決勝第２試合の「クレルモン対レンスター」は29日にボルドー（フランス）で行われる。ブックメーカーのオッズが示す通り、事実上の決勝戦と見る向きは多い。２季連続３度目の優勝を狙うレンスターは、ハイネケンカップではクレルモンと過去５試合対戦しており、４勝１敗と相性がいい。
　先週金曜日のアルスター戦（セルティックリーグ）を休養したアイルランド代表のCTBゴードン・ダーシーとNO8ジェイミー・ヒースリップ、それにラインブレイカーのWTBイサ・ナゼワが復帰。大黒柱のCTBブライアン・オドリスコルは、トゥールーズのWTBヴァンサン・クレール（フランス代表）が持つ大会32トライの最多記録にあと１本差と迫っており、主将LOレオ・カレンのハイネケンカップ80試合目に花を添えられれば勝利は近づいてくる。日本のラグビーファンにとっては、福岡サニックスブルースから“助っ人”としてレンスターに加わったLOブラッド・ソーン（2011年W杯優勝メンバー）の活躍も期待したいところだ。

　そして、初のベスト４入りとなったクレルモンは、プール戦で全24チーム中、最多得点（215）と最少失点（69）をマークしており、攻守ともに自信をもっている。準々決勝のサラセンズ戦は22−３で勝利し、激しいディフェンスは80分間トライを許さなかった。
　不安点を挙げるとすれば、南アフリカ出身のFLハラット・フォスローが20日のモンペリエ戦（トップ14）で内転筋を損傷し離脱したため、３列の層が薄くなったことか。
　カナダ代表のLOジェイミー・カドモアは、2007年にクレルモンの一員として欧州チャレンジカップ（ハイネケンカップに次ぐ欧州大会）の優勝メダルを獲得したが、2012年５月19日に勝者となれば、11年前にレスター・タイガースで頂点に立ったウィンストン・スタンリー以来、カナダ人として２人目のハイネケンカップチャンピオンとなる。大会を統轄するERC（ヨーロピアン・ラグビー・カップ）によれば、これまでハイネケンカップ優勝の美酒を浴びたのは17カ国の274人だとか。

　ヨーロッパシーズンもいよいよ大詰め。あなたはどのチームに注目しますか？