国内
2018.07.31
姫野和樹に憧れる吉田杏、トヨタ自動車から2季連続での新人賞目指す。
帝京大時代の吉田杏(中央上)。ボールを持っているのが姫野和樹。
2017年1月9日の大学選手権決勝から(撮影:松本かおり)
今季の国内最高峰トップリーグにあって、姫野和樹に続いてトヨタ自動車で新人賞を狙うのが吉田杏だ。
昨季の姫野はそれまで実質的に未経験だった主将を任されると、チームにとって7季ぶりとなる4強進出を達成。シーズン中には初の日本代表入りを果たし、今年はスーパーラグビーのサンウルブズでも活躍した。
姫野と同じ帝京大出身のFW第3列である吉田は、すでにクラブの練習試合で主力組に加わるなど頭角を現している。身長188センチ、体重106キロの体躯で繰り出す突進、ジャッカル、スイープによって、姫野に重責を与えたジェイク・ホワイト監督からの信頼を勝ち取りつつある。
「自分の持ち味をわかってもらっている。それを最大限に伸ばす。ディフェンスも攻撃的にやって、トヨタ自動車になくてはならない存在になっていきたいです。ここで成功した姫野さんとラグビーをして、あの人の後を追いたい」
吉田にとって姫野は、帝京大でもっとも「仲良くしてもらっていた」上級生の1人だという。公私とも行動を共にするなか、込み入った話ができる関係なのだろう。進路に迷っていた3年の冬、すでにトヨタ自動車入りを心に決めていたかもしれぬ姫野からこう聞かされたのを覚えている。
「俺、新人賞、取るから」
そう。一部の関係者が驚いた快進撃は、仲間内では有言実行にまつわる勇ましいエピソードだった。吉田が「後を追いたい」と誓うのは、自然な流れでもある。
「受け身にならずできることを精一杯やって、チームに貢献していきたいです。新人というのは関係なく、チームのために何か役割を持って行動していきたい」
ホワイト体制2季目のトヨタ自動車は、攻撃力アップのため元日本代表CTBのマレ・サウらを獲得。9月1日に愛知・豊田スタジアムでおこなわれる初戦で、昨季王者のサントリーを迎え撃つ。
(文:向 風見也)