国内 2017.12.23

主将のタックル勝利を呼び、大東大が大学選手権準決勝進出。帝京大も1月2日へ。

主将のタックル勝利を呼び、大東大が大学選手権準決勝進出。帝京大も1月2日へ。
勝利を決めた大東大FL河野良太主将のタックル。(撮影/松本かおり)
 フルタイムまで残り2分を切ったときだった。
 勝利を決定づけるプレーが出た。
 そのタックルには主将の責任と、今季の大東大が大切にしてきたものがあった。
 12月23日に秩父宮ラグビー場でおこなわれた全国大学選手権の準々決勝2試合。第1試合の大東大×慶大は33-28で前者が勝った。先に21点取ったのに、4連続トライで28点を許して逆転される展開。しかし大東大は、21-28の7点ビハインドの状態から2トライ(1G)を奪い、ふたたびリードを奪う。
 冒頭のシーンは5点リードで迎えた後半38分過ぎのプレーだった。
 反則で得たPKを左タッチに蹴り出し、大東大陣深くでラインアウトをおこなった慶大が、投げ入れられたボールをキャッチ。右に動かそうとしたときだ。
 パスを受けた黒黄の背番号16に大東大の7番、河野良太主将が激しく刺さった。岡田遼大が思わずボールを落とす。
 リードしていたモスグリーンの8人は、直後のスクラムをしっかり組んだ。そしてSOがボールを外へ蹴り出す。勝利のホイッスルが鳴った。
「苦しい時間帯でした。あの場所でトライをされたら、キックも決められたはず(コンバージョンも決められて逆転されたはず)。だから、狙っていました」
 試合後、河野主将は笑顔でそう話した。タックルのときに顔を歪めたのは、肩が外れかかったからだ。「でも、自分で入れたので大丈夫です」と言って、また笑った。
 この試合の大東大は素晴らしい立ち上がりを見せた。
 前半12分、ゴール前で自慢のスクラムを押し込みペナルティトライ。18分にはラインアウトからの攻撃でLOタラウ・ファカタヴァが前に出て、WTB岡新之助タフォキタウがトライラインを越える。そして22分にはスクラムからNO8アマト・ファカタヴァがサイドを走り、ボールをインゴールに置いた。
 自分たちの強みを前面に出し、完全に主導権をつかんだ。
 しかし、前半30分、32分、39分と慶大にトライを重ねられて同点とされ、後半5分には逆転される(PR岡田のトライ)のだから勝負はわからない。慶大側が「自分たちがやってきたラグビーをやろうと、自陣からでも攻めて流れをつかんだ」と振り返った時間帯を、河野主将は「自分たちの反則からリズムを崩してしまった」と反省した。
 大東大は、前半32分にはNO8アマト・ファカタヴァが危険なタックルでシンビンとなっていた。爆発力ある男がいない間に、2トライを許し、勢いを出されてしまう展開だった。
 勝者がそんな嫌な流れをひっくり返すことができたのは、時間をかけて積み上げてきた武器を持っていたからだ。スクラムとデイフェンス。そのふたつが窮地を救った。
 大量リードから逆転された大東大だったが、決して慌てることはなかった。スクラムになればどちら側のボールでも圧力をかけた。
 じりじりと慶大を押し込んでいった。
 後半19分、スクラムからフェーズを重ね、最後はSH南昂伸がインゴールに走り込みトライ。SO大矢雄太がコンバージョンを決めて同点に追いつくと、26分にはブレイクダウンから前に出たFL湯川純平がサポートした服部鋼亮につなぐ。ボールを受けた背番号19は、そのまま最後まで走り切る。
 それが決勝点になった。
 青柳勝彦監督は、「昨年からスポットで来てくれている木川コーチ(元パナソニック)の細やかな指導のお陰でスクラムに自信がつきました。大きな武器になった」と言った。今季関東大学リーグ戦時から接戦をものにしてきたが、その粘りもセットプレーの安定が支えてきた。
 そして、同リーグ戦では全試合で失トライは2つ以下だったデイフェンスの強さも、この日、あらためてキャプテンが証明した。チームはふたたび上昇ムードに包まれ、次戦に向かう。
 第2試合では、帝京大が流経大を68-19と一蹴した。
 流経大の内山達二監督は、「ボールを持って戦い切れなかった。アタックするチャンスもなく終わった。ただ、テーマにしていたタックルは、相手のミスを誘うところもあった。練習通りにできたところもあった」と戦いを振り返るも、シーズンを終えた選手たちの頑張りを労った。
 9連覇に一歩近づいた帝京大のHO堀越康介主将は、「相手の方が気迫で上回っていた時間もあったが、後半は立て直せた。いいプレーもあったが、またまたやれる」と自分たちの足もとをあらためて見つめ、最後まで進化する意志を伝えた。

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完勝の帝京大。写真はLO秋山大地(撮影/松本かおり)

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