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2017.05.28
マコウとタッチラグビーで対戦、ともに楽しんだ貴重な時間。
子どもたちとタッチラグビーを楽しむリッチー・マコウ氏。現役時代は15年間、300試合以上戦い、「前日のディナーは鶏の胸肉、マッシュポテト、スパゲッティを続けてきた。遠征でもそうしてきた」と自身のルーティンを披露(撮影:松本かおり)
『Support Our Kids(東日本大震災被災児童自立支援プロジェクト)プログラム』に賛同して来日した元オールブラックスのレジェンド、リッチー・マコウ。5月28日の午後は横浜カントリー&アスレティッククラブ(YC&AC)にて開催された「キッズラグビークリニック in 横浜」に登場。参加した小中高生たちとタッチラグビーを楽しんだ。
「ウォームアップはできていますね。私も楽しむので、皆さんも楽しんでください。上達の一歩です」とマコウの掛け声でクリニックは始まった。
マコウとともに練習をサポートしたのは、元日本代表主将のアンドリュー・マコーミック、廣瀬俊朗、現役最多キャップホルダーLO大野均、日本代表で昨季トップリーグ得点王のSO小野晃征、東芝前主将のSO森田佳寿。さらに神奈川県を本拠地にする関東学院大、慶應義塾大、東海大の現役学生たちがスタッフとして参加した。
まずはパス、タックル、ハイパントキャッチのポイントを伝授して、マコウ自らお手本を見せる。
「パスは走っていると手が下に下がってしまうので、ハンズアップで両手を上げることが大切。ラグビーは複雑に考えないこと。シンプルに基本に忠実に、正確にできるようにしたいですね」
タックルに関しては「大事なのは絶対に目を、頭を下げないこと。常に相手の腰、足を見て、相手の両足をひとつに束ねる。頭と顔を下げてしまわないように。そして勇気を持つことです」と話した。ハイボールキャッチの鍵は「常に目をボールに向けること。それにより、ボールがどこに落ちるかが分かる。大事なのはボールをキャッチする前に手を空中に向けて、自分の視界の中にボールと手が入っていること。簡単です」と笑顔で説明した。
スキルのデモンストレーションが終わると、各学年のグループに分かれて、マコウが子どもたちとタッチラグビーで戦う。参加者全員と対戦するため、45分近く動き続けたマコウだったが終始笑顔。最後に「子どもたちが非常に高いスキルを持っていたので、プレーして楽しかった。代表してお礼を言いたい。これからのラグビー人生も応援しています」
クリニックの最後にはトークショーがおこなわれた。練習で一番大事なことを聞かれると、「2つあります。まずはフィットネスが高いこと。私はよく走るのですが、常にフィットネスをキープするようにしてきました。そしてベーシックスキル。ボールをキャッチする、パスする、ラン、キックなどの基本スキルをしっかりできていればいいラグビー選手になれる」
さらにニュージーランドの子どもたちがどのように育っているのかにも言及。
「ニュージーランドがなぜ強いのかを考える時、根底にあるのは、子どもの時からラグビーをプレーするという経験値だけでなく、常にラグビーを楽しんでいることがいいと思います。それが公園でのラグビーでも、庭でのラグビーでも、キック、パスなどのスキル練習でも、すべてに楽しんで練習する、プレーする。これは大人になってからもそうです」
今回のクリニックでマコウが何度も口にした“楽しむ”がキーワードなのだ。
マコウはジェイミー・ジョセフが率いる日本代表についてはこう話した。
「ジェイミーはきつい練習をするのが大好き。これからそういう練習を重ねて、強くなると思います。2015年のワールドカップで南アフリカを破り、自分たちのラグビーを信じていれば負けないということも証明したので、2019年大会は楽しみなはずです」
ワールドカップ日本大会決勝の地・横浜で、ワールドカップ2大会連続優勝した主将が口にした言葉は、子どもたちだけでなく、現役大学生、スクールのコーチ陣にも響いたはずだ。
(取材:福田達)
クリニックの最後に参加者みんなで記念撮影(撮影:松本かおり)