海外
2016.10.06
サンウルブズ、選手は揃うの? ティアティア新HCは「継続性が大事」。
国際リーグのスーパーラグビーに日本から参戦するサンウルブズが、2シーズン目に向けて会見。チームを率いるのは、フィロ・ティアティア ヘッドコーチ(HC)。選手との契約や諸般の準備を進める上野裕一・業務執行理事(CEO)、今季から着任の渡瀬裕司・CEO代理、日本代表のHCでもあるジェイミー・ジョセフ・チームジャパン2019総監督とともに抱負を語った。
初参加した2016年度シーズンを1勝1分13敗で終えたチームは、日本代表との連関性強化やプレースタイルの継続性など、多くのミッションを抱えている。ティアティアHCはマーク・ハメット前HCのもと、参戦初年度にアシスタントコーチだった。田邉淳アシスタントコーチがゲームプランの立案や攻撃陣形の確立に力を割くなか、明るい雰囲気作りや肉弾戦でのスキルの指導を主な役割としていた。
渡瀬CEO代理が「8月の始めに私と薫田(真広・男子15人制日本代表ディレクター・オブ・ラグビー)とニュージーランドへ行き、ジェイミーと合流。全会一致で彼(ティアティア)に頼むことにした」と強調するなか、内部昇格となったティアティアHCはこう意気込んだ。
「コーチングチーム、選手を導けることを楽しみにしています。皆さんにお見せするパフォーマンス、チーム文化については、ハメットが素晴らしい基礎を築いてくれました。大事にしたいのは、昨年のシーズンからの継続性です」
10月5日に都内でおこなわれた会見では、日本代表との連関性に関する質問が集中。同席したジョセフ総監督は、「サンウルブズがいい成績を残しても、代表強化がままならない、となれば意味がない。ここで日本のラグビーを次のステージに持って行くことが大事」とし、ここまでの自らの取り組みを明かした。
「私の考えを述べると、2015年以降、我々は国内外を問わず可能性のあるプレーヤーにはアプローチをしてきました。全員を日本代表やサンウルブズに戻って欲しいという話はした。ただ、全部が全部、上手くいかないこともあるのが現状です。先日(10月3日)に発表した日本代表スコッドには、ノンキャップ(テストマッチ=国同士の真剣勝負へ出場したことのない選手)が15人います。これが何を意味するか。新しいジャパン、です。新しいプレーヤーに、新しい挑戦の機会が与えられること。彼らが世界の舞台でも挑戦して、サンウルブズでも戦ってもらうことを念頭に置いています。望んでいることは、このままパスウェイを通って、日本代表にそのままなっていくことです。仮にサンウルブズがいいプレーヤーを選んで成績を残しても、代表強化がままならない、となれば、意味がない。フィロと話しているのは、2チームの連携で日本のラグビーを次のステージに持って行くこと」
そんななかティアティアHCも「そのためにはどんな強化が必要か。この2点について、お互いが同じ方向を見ないといけない」と、ジョセフ総監督との対話を重ねるつもりだ。
「サンウルブズの私の責任は何かというと、少しでも日本代表、日本代表となりうる選手に経験を積ませることだと思っています」
国際舞台で有力株に多くの経験を積ませ、タフにする。そのためには資質のある選手を見定める眼力、資質ある選手との適切な契約が欠かせない。2017年度のメンバーとの契約状況に関し、渡瀬CEO代理は「いまのところ、33名ほどに対してオファーは出しております。そんななかでサンウルブズで…と口頭で合意をいただいているのが14名ほどです」と現状を説明。限られた予算や条件下で交渉を進めなければならないなか、最善を誓っていた。
(文:向 風見也)