コラム 2016.10.06

近鉄ライナーズ・?君の両親の鉄板焼き屋が開店(横浜・JR山手駅)

近鉄ライナーズ・?君の両親の鉄板焼き屋が開店(横浜・JR山手駅)
「鉄板焼き なにわ」を切り盛りする父・昌孝さん(右)と母・栄子さん。
近鉄ライナーズFBの?忠伸選手の両親である。
 浪速のおっさんはハマに来たで。JR横浜駅から青色の京浜東北線に乗って山手駅へ。わずか10分やな。
 駅の改札出て、突き当りを右に行き、「大和町商店街」に入る。1分も歩けば、右手に白いタイルに茶色の引き戸とシックなたたずまいの「鉄板焼き なにわ」がある。
 オープンはなんと今日、10月6日でっせ。
 メインは大阪風のお好み焼きや。キャベツと粉を混ぜ込むねん。王道の豚玉は780円。使うバラ肉は中華街にあるポークの専門店から取り寄せる。一口いただいたで。
「おいしいー。なんや、ハマで本場のお好み焼きが食べられるんや。びっくりやね」
 焦げ茶色になった豚肉が透明な肉汁をしたたらす。外側はかりっとして、中はふわっ。キャベツの甘みと濃厚ソースが絶妙や。
 その焼け方の秘密は鉄板の厚み。なんと18ミリ。おっさんの知っている名店でも13ミリが最高や。厚ければ熱がこもり、「カリふわ」になる。その代わり、鉄板の製作費やガス代はかさむでな。それ考えたら、美味しいもん食べてもらいたいちゅう心意気を感じるな。
 お好み焼きの上に中華そばを乗せるモダン焼きは200円プラス。その太麺は大阪から仕入れてんねん。上にかけるソースは3種類以上を混ぜ合わせとる。さらに焼きそば用はあっさり。味自体を変えているんや。
 この店は近鉄ライナーズFBの?忠伸君から両親(昌孝、栄子はん)へのプレゼントなんや。親孝行やなあ。おっさんはうるうるや。お父はんは次男へお礼を言いまっせ。
「普通にありがたいです。自分の息子だけれど、感謝しています」
 ?3兄弟はラグビー界で有名や。兄は彰伸、弟は聡伸。?君は桐蔭学園から帝京大、日本IBMでプレーした後、2009年度から近鉄に移籍した。今年で在籍8年目を迎える。
 元々、ご両親は700メートルある商店街の逆っ側でお好み焼きの店をやってはった。せやけど、お母はんが股関節を痛めたこともあって、2010年に閉めてしもた。6年ぶりの再開ちゅーことですな。
 ここのお店は客人のニーズに合わせるで。お好み焼きともんじゃ焼きがごっちゃになってる関東の人のために、コーンやじゃがいもなどトッピングが27種類も用意してある。アジアの香草・パクチーやアボカドまでありまっせ。お母はんは笑うで。
「私は最初、信じられませんでした」
 そらそや。大阪で生まれ育ったワイは完全にお母はん支持や。そんなん邪道やん。ほんでもお父はんが引き取って解説しはる。
「関西の人はそう言うけれど、若い人はこういうものが好きだし、どんどんお店に来てもらいたいんです。これは忠伸のアイデアです。『時代の流れに合わせんといかん』と言われました。その時は腹が立つけど、後で冷静に考えたら、あいつの言う通りやな、と」
 お父はん偉いっ!しっかり次男を立てる。確かにここはハマやし、こっちの味覚にあわせんとね。店は、はやってなんぼやから。
 夫婦の共同作業による「自家製白菜キムチ」(400円)もいけまっせ。ただの赤唐辛子の辛さだけやない、甘みがじわっと出てくる。これなら白いご飯何杯でもいけるわ。
「共同作業言うても、2人で手を携えてやっているわけではないですよ」
 うーん、お父はん、注釈のつけ方、おもしろい。塩加減をお父はんが見て、真っ赤な漬け込みタレをお母はんが作る。もち、材料は企業秘密やが、おっさんの頼りない舌にはイカを含んだ海鮮や水あめの味がしたな。
 ちなみに料理は全品持ち帰り可能や。
 飲みもんは、ほとんどライバルチームのサントリーから仕入れてある。ビールは「ザ・プレミアム・モルツ」(中ジョッキ500円)。ワイもこのフルーティーさが好きなんや。お父はん、さすがや。舌肥えてはんね。
「いや、私はまったく飲めません。ビールは苦いし、頭が痛くなる」
「私は少し飲みまーす」
 お母はんがすかさずフォローや。さすが夫婦でんな。愛を感じるなあ。
 サントリーの担当者にはラグビー部OBの尾崎章はん、池谷陽輔はん経由でつないでもろた。どんだけ長いねん。せやけど、しっかりつながるところがラグビーっぽくて素敵。ちなみに2人とも元日本代表PRやで。
 お父はんに質問だ。
「こんなに美味しかったら、もう予約目白押しちゃいまんの?」
「ああ、来年のYCACセブンの時に予約が1人入ってます」
 YCACって来年の4月やーん。まだ、ずーっと先やーん。お父はんぼけまくりやーん。さすが大阪出身。笑いのつぼを心得たはる。
 ってか、みんな行ったってやー。味はおっさんが保証するさかい。
 4月はなかなかけーへんからねー。
◆鉄板焼き なにわ◆
 住所 〒231−0846 神奈川県横浜市中区大和町2−50 モナコビル103号
 電話番号 045−228−9628
 営業時間 17時〜23時
 定休日 水曜日(祭日の場合は木曜日)
 席数 テーブル、カウンターで16程度
(文:鎮 勝也)

おこの

「鉄板焼き なにわ」の自信作、豚玉(豚のお好み焼き)

みせ

「鉄板焼き なにわ」の全景

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