国内
2016.08.01
注目株の大東大・小山大輝、日本代表入りへ練る「計画」とは。
今年のジャパンセブンズでMVPに選ばれた小山大輝(撮影:松本かおり)
昨季は関東大学リーグ戦1部4位ながら大学選手権4強入りした大東大は、今季も爆発力を保持。ホセア・サウマキら留学生ランナーがスタンドを沸かせるが、SHの小山大輝も注目を集める。
7月10日には、7人制ラグビーの日本一を争うジャパンセブンズで優勝(東京・秩父宮ラグビー場)。大学選手権7連覇中の帝京大を破り、小山が大会MVPに輝いた。
現サントリー主将のSHである流大からも「対抗戦(在籍した帝京大が加盟)にいないタイプのSH」と絶賛されていたが、ここに来て話題の人となりつつある。
北海道芦別高時代は無名の存在だったが、縁あって参加できた候補合宿での猛アピールから高校日本代表入り。大東大でも、1年時の5月にあった控えチーム同士の試合で躍ってそのまま主力と化した。密集脇をえぐる鋭いサイドアタックを長所とする。ラックとタッチラインにある約10メートル幅のスペースをえぐり、そのままトライを決めたこともあった。
優勝したジャパンセブンズでも持ち味のランは発揮。もっとも今季、15人制ではややモデルチェンジを図っている。自分が突破をするより、パスを渡した味方に突破をさせているような。日本代表入りのためだった。
2019年にあるワールドカップ日本大会出場を目指し、ここ2年間は国内外のトップレベルの試合映像をじっくり観るようになった。その場に自分が立つことを想像して思うのは、「相手にはパワーがある。自分で走っていくとターンオーバーの(取り囲まれて攻守逆転する)リスクがある」ということだった。
世界と対峙するには、球さばきの緩急やプレーの選択肢を自由自在にせねばならないと思ったか。サウマキやアマト・ファカタヴァら突破役を擁するチームにあって、こう考えて戦うのだという。
「去年まではどっちかと言うと、自分でガツガツ行くぞという感じ。でも、今年は味方を活かすプランも考えています」
サイドアタックという鋭い刀を持ちながら、その刀に頼らぬ試合の運び方を体得。相手から何をするかわからない指揮者と目されることで、かえって刀を振り下ろした際のインパクトを強烈にする。思考はシンプルだ。
「大東大にいいキャラクターが揃っているうちに、いろいろと試そうかな、と」
学生ラストイヤー。出世街道の序章を奏でたい。
(文:向 風見也)