海外 2016.06.27

NZで現場にこだわりたい。サンウルブズのハメットHC、退任背景語る。

NZで現場にこだわりたい。サンウルブズのハメットHC、退任背景語る。
来季は母国に戻ることになったハマー。(撮影/松本かおり)

 スーパーラグビー、サンウルブズが6月27日、マーク・ハメット ヘッドコーチ(HC)の今季限りでの退任を正式発表。同HCが都内で胸中を語った。既報通り、来季からはハイランダーズのアシスタントコーチに就任する予定だ。
 元ニュージーランド代表HOで、クルセイダーズのアシスタントコーチとして同チームの黄金期を過ごした。サンウルブズの指揮を執った今季はここまで1勝10敗1引き分けと苦戦も、大らかで明るい人柄は支持された。クラブ側から来季以降のオファーもあったと語る当の本人は、「つらい決断でした」と要請を辞した胸中を明かした。

「サンウルブズでの経験は非常に充実していた。ただ、常に目標として掲げていたのは、ニュージーランドでアシスタントコーチとして密にコーチングに携わりたいということでした。ヘッドコーチになると、どうしてもマネジメントに関わらなければならない。サンウルブズの運営のスタッフとは、来季のオファーを受けるプロセスで話をしました。いまの状態を今後にどう繋げていくかについて、です。チームを、人をどう育てるか。環境をどう改善していくか。そうしたハイパフォーマンスに関する話をさせてもらいました」
 いまのサンウルブズはクラブハウスを持たず、長期遠征時のホテルでの食事がハンバーガーだけだったことがあるなど、チーム運営、管理に課題を残している。クラブ内の環境づくりを重視するハメットHCは、相応の提案をしたようだ。
 ハイランダーズから誘いを受けた時期を「控えさせてもらいたい」としながら、こう言うのも忘れなかった。
「スーパーラグビーの世界は人材確保に関して競争意識の激しい場所です。監督、選手、コーチともです。そういう話が早い段階で来るのは当たり前の話です」

 日本で残された仕事は、残りの日程を戦い抜くことだ。7月2日、サンウルブズは東京・秩父宮ラグビー場で第15節をおこなう。国内最後のゲームで、一昨季王者のワラターズとぶつかる。ハメットHCは「フェーズを重ねてアタックすれば、いい戦いができる」と意気込む。
「暑い天候のもと、速い展開になると思います。いまは、皆がサンウルブズの仕事に楽しんで向かえるという状況になった。チーム内に色々な儀式ができたことで、個々のチームへの気持ちがより強くなっています。いままでいいレガシーを作れましたが、これで終わりにしてはいけない。いいレガシーを残すには、しっかりとしたパフォーマンスを示さなきゃならない」

(文/向 風見也)

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