想像以上だった。「サンウルブズのベリー・ロータックルは武器になる」
(撮影/松本かおり)
13-26。トライ数はサンウルブズが1つ、ライオンズが4つだった。
2月27日に秩父宮ラグビー場でおこなわれたサンウルブズ×ライオンズは、日本チームがスーパーラグビーに参戦して初めての試合。歴史的な80分だった。
満員のスタンドの前でサンウルブズは負けた。しかし、勝者との点差は多くのファンが予想していたより小さかったのではないだろうか。
ライオンズは試合の3日前の夕方、20時間以上の長旅を経て来日した。南アフリカとの時差は9時間。ホームで戦えるサンウルブズにとって、有利な条件は確かにあった。しかし首脳陣、スコッドの選出遅れと準備期間の短さ等、ニューフェイスは明らかに他チームより出遅れている状況。だから、前出の優位性があっても、大差をつけられる不安は拭い去れなかった。
サンウルブズのそんな状況も知っていたのだろう。試合後、ライオンズのスキッパー、ワーレン・ホワイトリー主将は「短い準備期間の中で、よくこれだけのパフォーマンスをやれたと思う」とサンウルブズを称えた。
ヨハン・アッカルマン監督は「ディフェンスの激しさ、正確さが印象的だった」と話した。トップリーグの順位決定戦、LIXIL CUPの準決勝、決勝とチャリティーマッチ、サンウルブズ×トップリーグXVの映像を見て事前に分析したという同監督。中心選手の動きとサンウルブズの仕上がりを確かめて試合に臨んだ。
「我々が戸惑ったのはチョップタックル。低いタックルでした。私たちは、上半身をかち上げ、抱え込むようなタックル(チョークタックル)への対応はできています。それは、いつものことなので。しかし、サンウルブズの足へのタックルはとても低かった。ベリー・ロー。戸惑いました。外国人選手のタックルには驚きませんでしたが、日本人選手の低いタックルが特に印象的です。これからスーパーラグビーを戦っていくうえで、あのタックルは武器になるでしょう」
前半にハンドリングエラーが目立ったのはそのためだった。
「だから後半は、複雑なことをせず、もっとシンプルに戦うことにした。それがうまくいきました。ただ、サンウルブズは最後までプレッシャーをかけ続けることをやめなかった。アタックのスピードに関しては映像で見ていた通りでしたが、あの低いタックルは事前には分からなかったから厄介だった。試合を重ねてチームがさらにまとまれば、もっと高まる部分ではないでしょうか」
サンウルブズの次戦は3月12日。シンガポールでチーターズと戦う。第1節では新規加入のジャガーズ(アルゼンチン)に敗れたチーターズだが、33-34と互いに4トライずつを奪う攻撃力を見せた。ワールドカップの日本戦で防御を蹴散らしてトライを挙げた205cmのLOルード・デヤハーもいる。低く、激しいタックルを何度でも浴びせ、歴史的勝利を手にしたい。