各国代表 2026.04.25

【女子シックスネーションズ】成熟課程の女子フランス代表、3連勝をかけてアイルランドに挑む

[ 福本美由紀 ]
【女子シックスネーションズ】成熟課程の女子フランス代表、3連勝をかけてアイルランドに挑む
WTBアナイス・グランド。写真は初戦のイタリア戦(Photo/Getty Images)

 前節のイタリア戦(40-7)と同様、フランス代表はウェールズ戦でも立ち上がりの悪さに苦しんだ。しかし、後半に入ると本来の彼女たちのラグビーを取り戻し、最終スコア38-7で勝利。2試合連続となるボーナスポイント付きの白星を挙げた。

 フランソワ・ラティエHCが試合後の会見で「自分たちで首を絞め、試合を良い形でスタートさせる機会を逃した」と述べた通り、フランスは再びスタートに失敗した。前半、特にモール守備において規律を欠き、14分にPRイラナ・ブロッソが、15分にはSHポリーヌ・ブルドン=サンシュスが相次いでイエローカードを提示され、さらにはペナルティトライも献上し、0-7という劣勢に立たされた。

 13人対15人という極めて不利な状況に陥ったが、ここでようやくフランスがボールを保持し始める。丁寧にフェーズを重ねて攻め上がると、22分にはLOマドゥッス・ファル=ラクロがゴール前のラックからディフェンダーを跳ね飛ばしながら、パワフルにねじ込んで7-7の同点に追いついた。しかし、その後はミスや精度の低さが目立ち、追加点を奪えぬまま前半を折り返す。

 後半に入ると、縦への攻撃が機能し始めた。FLマナエ・フェレウ(46分)、WTBレア・ミュリー(54分)、ブルドン=サンシュス(59分)が次々とトライを重ね、ボーナスポイントを確定させる。ようやく硬さの取れた終盤には、WTBアナイス・グランドが2トライ(70分、78分)を挙げて突き放した。

 最終的には6トライを積み上げ、前節とほぼ同スコアまで持っていく底力は見せた。しかし、イングランドのような強豪を倒すために必要な「一貫性」という点では、まだ課題が山積みである。試合後、円陣を組む選手たちの表情が厳しかったのは、彼女たちがその事実を何より自覚しているからだろう。

 今節のアイルランド戦に向け、ラティエHCは「試合の最初から最後まで自分たちのプレーをしっかりやり切ること、特に立ち上がりを成功させたい」と強い意志を示す。イタリア戦、ウェールズ戦と続いた前半の停滞を重く受け止め、「前半を、状況を安定させることに費やしたり、数的不利でスコアを追いかけたりする展開を繰り返していては、トップレベルのパフォーマンスは望めない」と断言した。

 チームは現在、主力の負傷離脱という苦境にある。イタリア戦でXファクターのジョアンナ・グリゼ(膝)、ウェールズ戦では攻守の要であるガブリエル・ヴェルニエ(肩)と、2人のCTBを相次いで失った。指揮官は彼女たちの離脱を惜しみつつも、「言い訳にするつもりはない。若い選手に自分を表現するチャンスが巡ってきたことを前向きに捉えている」と語る。

 アイルランド戦では、ヴェルニエに代わり、12番には前節リザーブだった23歳のテアニ・フェレウが入り、同じくグリゼの代役として13番に定着した22歳のオーバンヌ・ルッセとセCTBコンビを組む。この若きペアに対し、ラティエHCは全幅の信頼を寄せる。「彼女たちの強みは若いフレッシュな勢い。身体能力と技術を兼ね備え、互いを補完し合える。国際レベルでプレーできるかについて、全く心配はしていない」と評価は高い。

 小柄ながらガッツ溢れるプレーを見せるヴェルニエから、フランカーもこなす強いフィジカルの持ち主であるテアニ・フェレウへとプレースタイルは変わるが、目指すゲームプランに揺らぎはない。相手の守備に応じて当たるべきか、かわすべきかを見極めながらバランスの良い戦い方を追求していく構えだ。「若いチームになってまだ2試合、浸透には時間がかかる」としながらも、新布陣で臨むアイルランド戦を、チーム構築の重要なステップと見なす。

 課題は残るものの、新体制にとって初戦のイタリア戦からは確かな成長も見られたという。ラティエHCは「自分たちが目指す形を体現できている瞬間は、事実として増えており、完成度は高まっている」と手応えを口にする。一方で、細かなテクニカルミスや判断の迷いについては、「習得には時間がかかるものだ」と冷静に分析する。

 現在、フランス代表は毎試合のように経験の浅い若手を起用している。彼女たちは国際舞台の重圧を肌で感じ、成熟の過程にある。「初戦、2戦目と緊張で硬くなる場面もあっただろうが、3戦目にはそれが収まっていることを期待している」と指揮官は語る。若い才能が技術的に引けを取らないことを確信しているからこそ、彼女たちが役割を完全に消化するまで見守る「忍耐」が指導陣には必要だと強調した。

 今節の後、チームには1週間のバイウィークが与えられる。選手には個別のトレーニングメニューが課される一方で、「メンタルをリフレッシュさせる義務がある。しっかりとラグビーから離れることも必要だ」と、心身のリカバリーを促している。

 しかし、同時に「所属クラブでスキル練習をしたいと言うなら大歓迎だ」とも付け加えた。この言葉からは、個々のスキルレベルの向上が、チームとして目指す「ボールを動かすラグビー」を実現するために不可欠であるという、指揮官の切実な期待が感じられる。

 今節の対戦相手であるアイルランドとは、昨年のワールドカップでも18-13という薄氷を踏む接戦を演じており、フランスはさらに警戒を強める。

 アイルランドの最大の特長は、1番から15番まで全選手がすべての接点で前進し続ける推進力にある。ラティエHCは「彼女たちを当たった瞬間に即座に倒すこと」を目標に掲げた。これまでの2試合で失点を計14に抑えているディフェンスの規律を維持できるかが、勝敗を分ける決定的な要素となる。

 具体的な警戒対象として、司令塔である10番のダナ・オブライエン、そしてチームの攻撃の急先鋒である8番のイーファ・ウェイファーの名を挙げた。「常に前進し続ける8番を封じ込めることができれば、チームの勢いを削ぐことができる」と、その対策を重要視している。

 また、アイルランドの近年の進化についても「見違えるようだ」と高く評価する。その背景には、指導体制の刷新やプロ化の進展、そして「ケルティック・チャレンジ」という質の高い独自リーグの創設による選手層の拡充とレベルの向上がある。

 さらに、以前は7人制代表に流れていたスピードのある選手たちが、現在は15人制に専念していることも脅威となっている。CTB、WTBに備わったその圧倒的なスピードについて、指揮官は「イタリア戦を見れば明らかであり、間違いなく断言できる」と警鐘を鳴らした。(アイルランドは前節イタリアに57-20で勝利)

4月26日(日) 日本時間午前4時10分キックオフ
フランス代表 アイルランド戦メンバー

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