国内 2025.09.17

2部昇格の新潟食農大、実力差を体感。中大に17T113失点。関東大学リーグ戦2部開幕

[ 見明亨徳 ]
2部昇格の新潟食農大、実力差を体感。中大に17T113失点。関東大学リーグ戦2部開幕
後半2分、中大LO伊藤和希⑲がモールを先導。11本目のトライに(筆者撮影)



 9月14日から、関東大学リーグ戦や関東大学対抗戦の下位リーグも2025年秋シーズンが始まった。

 リーグ戦2部は昨年度1位の中央大がホームに3部から昇格した新潟食農大を迎えた。中大は前半開始いきなりノーホイッスルトライで先制すると、10トライを奪い66-0で折り返す。後半も最初に得点し7トライをマーク、食農大を1トライに抑え、113-7で初戦を飾った。

 2部の100点ゲームは2016年度に山梨学院大が103-5で白鷗大を下して以来。また過去20年の得点差の記録は2014年度、1部から降格した拓殖大が138-0と白鷗大を破った138点差が最大だ。

「自分たちにフォーカス」(中大・監物弘仁監督、左)と「(差を)初めて体感」(谷崎重幸、新潟食農大監督)

「相手よりも自分たちのラグビーにフォーカスしたい」。試合前、中大の監物弘仁監督が話していた通りのパフォーマンスを見せた。

 午後3時、食農大のキックオフで試合が始まる。ボールを確保するとSH野村幹太(4年、東京)らの素早いパス回しが食農大ディフェンスを翻弄。1分30秒、左PR太田湊(2年、尾道)が左中間へ最初に仕留めた。Gは花園優勝経験があるFB吉田晃己(2年、桐蔭)が決める。

中大はSH野村幹太からのパス回しで揺さぶり続けた

 リスタート、同じようにボールを運び、左WTB島﨑聖弥(3年、國學院栃木)のゲインでゴール前へ。またもPR太田が連続のファイブポインターになった。

 次に魅せたのは右WTB田積智陽(4年、大阪桐蔭)。8分、SOで高校1年後輩の須田龍之介が右タッチライン側へキックパス。受けて走り切った。

 3分後、左ラインアウトからHO矢富蓮(1年、常翔)、右PR山口幸之助(4年、國學院栃木)らがパスで前進すると、田積がトライゾーンへ入る。

「タックルしブレイクダウンでボールを奪うか相手の反則を誘い敵ゴール前へ進みたい」。食農大主将のLO渡邉太気(4年、石見智翠館)はそうプランを描いていたが、中大のパス回しにタックルさえもできなかった。

 ようやく15分、中大陣で相手主将であるLO百瀬祐(4年、桐蔭)に襲いかかり、ノットリリースザボールのペナルティを得た。22メートル線内の右ラインアウトに持ち込む。

 しかしモールを組むも中大ディフェンスが上回り、ボールを落とす。前半唯一の得点機を潰した。

 17分、食農大が中大22メートル外の左ラインアウトから仕掛けるも、ここもディフェンスにあいルーズボールになった。中大SH野村が拾いWTB田積へ渡すと、70メートル独走しハットトリックを早くも決めた(31-0)。

 HO矢富、FB吉田らが5点を取り切ったあとの31分、中大が自陣からの攻撃でまたも田積へ。ハンドオフでマークを外し4本目もキッチリと運ぶ。さらに2本のトライ、計10トライを加え66-0でハーフタイム。

 食農大、谷崎重幸監督は「ディフェンスは1次から詰めていこう」と指示を出す。

 しかし後半も最初の得点は中大。2分、SO須田の50:22キックでラインアウトを獲得。モールの先頭は主将の百瀬に代わりピッチに入ったLO伊藤和希(3年、黒沢尻北)。最後尾のSH野村が11本目をねじ込んだ。さらに2連続のトライで87-0とする。

 ようやく食農大に歓喜が訪れたのは21分だ。中大ゴール前の5メートルスクラムを勝ち取る。ここまでスクラムも中大が優位に進めてきたが、今度は食農大が押し込んだ。ボールを持った主将、渡邉がポスト右に自ら初得点を記録。GはSO交代の小松政彰(3年、水戸農)が成功し7点を刻んだ。

新潟食農大、後半21分にスクラム起点でLO渡邉太気主将がトライライン越え

 だが食農大の勢いを中大は許さない。後半からWTBに入りゲインを見せていた久保田泰綺(3年、航空石川)が、5分後にトライゾーンへ、Gも自ら蹴り込んだ(94-7)。

 そして33分、右タッチライン際から左、大外へパスをつなぐとSO西本壮(2年、國學院栃木)が中央へ。99点目が入った。WTB久保田が難なくG成功し101点。この後も久保田の2トライ目など試合を通じ17トライ113-7で終えた。

17トライ113点を献上。新潟食農大メンバーは、この体験を活かしたい

 2020年に創部、リーグ戦5部に加盟後、連勝で順調に2部へたどり着いた食農大。谷崎監督は「(1部を目指す2部上位の力を)初めて体験したことが大きい」と話す。

 渡邉主将は試合後、仲間に「次のためにクールダウンをしっかりしよう」と呼びかけた。

 次戦(9月21日)、中大は昨年度7位の朝鮮大(朝大G)、食農大は2位専修大と当たる(専大G)。2部他の結果は専大67-7朝大、山梨学院大73-46國學院大、白鷗大38-36拓殖大。

◎3部以下も開幕。3部昇格2校は初戦、敗れる

 3部は今季、4部から駒澤大と東京理科大が昨年の入替戦に勝ち新たなステージに立った。駒大は2部から降格した国士館大に挑むも、5-83と大敗した。理科大は東京農業大と接戦、31-40で敗れた。
 防衛大はラストプレーで34-33、千葉商科大に逆転勝ち。駿河台大25-10東京科学大(旧・東京工業大)の結果になった。

 4部、降格の東京都立大は獨協大戦。低いスクラムで圧倒し、8トライ52-12と初戦を飾った。3部復帰を目指す。
 同じく降格組の千葉大は順天堂大と12-12で引き分けた。東京経済大22-17埼玉工業大、玉川大26-21と初戦勝利。

 5部は今季、大きく参加校が替わった。昨季、5部に所属した創価大、埼玉大(5部セブンズへ)が欠場。5部セブンズから文教大と北里大が15人制へ。地区対抗関東1区1部の東京学芸大、東京都市大、2部国際基督教大(ICU)が新規加盟した。12校がA、Bブロックに分かれ総当たり戦をおこない11月23日に同じ順位で順位決定戦を実施する。

 9月14日の開幕戦。Aブロックは国際武道大108-0北里大、東京海洋大―ICU。B、都市大61-17神奈川大、千葉工業大42-31桜美林大、東京外国語大―文教大。21日にA残り試合、芝浦工業大―学芸大がおこなわれる。

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