日本代表 2025.08.14

前指揮官の厳しさも「自分のため」と認識。日本代表ワーナー・ディアンズの原点。

[ 向 風見也 ]
前指揮官の厳しさも「自分のため」と認識。日本代表ワーナー・ディアンズの原点。
7月のテストマッチは2試合でフル出場したワーナー・ディアンズ(撮影:早浪章弘)

 ワーナー・ディアンズは「マイペース」だと自覚する。「自分がコントロールできないこと」に乱されず、すべきことをする。

 身長201センチ、体重117キロ。ラグビー日本代表として23キャップを有する23歳だ。所属する東芝ブレイブルーパス東京では、今年6月までに国内リーグワン2連覇を達成した。今後は母国ニュージーランドのハリケーンズへ期限付きで移籍し、南半球最高峰のスーパーラグビーに挑む。

 中学2年で来日した。日本の流経大柏高3年時にパンデミックと事実上のロックダウンにさいなまれたが、当時NECグリーンロケッツ東葛(現名称)でS&Cコーチをしていた父のグラントさんとともに自宅でトレーニングを重ねた。

 それが、いまの「マイペース」の資質を作る原体験となっている。

「(与えられた状況で)ちょっとでも楽しく生きるように」

 昨秋は、日本代表として厳しい季節を送っていたような。国内外のキャンペーンで1勝3敗と負け越していた。

 折しも第2次エディー・ジョーンズヘッドコーチ政権の1シーズン目にあった。タフなセッションを課す指揮官のもと、一部の選手は暗中模索の感を隠さなかった。

もっとも、19歳で代表デビューのディアンズは動じなかった。

「自分たちのやりたいラグビーをやるための練習。もちろんきついと思いますけど、きつくしないと(目指している)『超速』のラグビーはできないので」

 ジャパンでは、ジェイミー・ジョセフ前ヘッドコーチがいまより若かった自分へ厳しかったもの。その頃を思い返す。

「(ジョセフ体制下の練習は)コンタクトの強度が高く、走り(の量)も凄かった。僕は経験が少なかったのでミスをして、よく言われ(指摘され)ました。その時はすごく嫌だったんですけど、自分の成長のためにやっていたのかなって」

 いばらの道を突き進むことに、意味を見出せる。

 今年7月にあった対ウェールズ代表2連戦では、持ち場のLOで連続スタメン出場を果たした。結果は1勝1敗。自身は空中戦のラインアウト、衝突局面で爪痕を残した。

 8月下旬から日本とアメリカなどで開かれるパシフィック・ネーションズカップへも、スコッドに名を連ねた。

 組織の方針がわかる主軸選手として躍動する。

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