日本代表 2025.08.14

高く跳ぶ。日本代表・木田晴斗の野望。

[ 向 風見也 ]
高く跳ぶ。日本代表・木田晴斗の野望。
昨季スピアーズで7試合に出場した木田晴斗(撮影:服部有美)

 代表戦に出たことがない26歳にして、2年後のワールドカップを見据えるラグビー日本代表で復帰が待たれていた。クボタスピアーズ船橋・東京ベイの木田晴斗は、かくも期待されていた。

 8月15日、代表合宿へ参加できることになった。ナショナルチームの隊列に入るのは、2023年のワールドカップフランス大会直前以来のことだ。

 国内リーグワン1部の実質1年目となる22年度、ベストラインブレイカーを受賞。小学4年で極真空手の世界大会でチャンピオンとなった青年は、様々な局面での身体衝突に抵抗がない。ボディバランスもよく、左足でのキックも映える。

 昨年9季ぶりに復帰したエディー・ジョーンズヘッドコーチは、ずっとこの身長176センチ、体重90キロのWTBに熱視線を送ってきた。

 現代のWTBに求められる、上空に蹴り上げられたボールの争奪戦でも活躍できるだろうと見る。

「木田は注目していた選手でした。残念ながらずっと怪我をしていましたが、いまは完全にフィットしているのでスコッドに入れています。非常に強く、空中で思いっきり(相手と)競り合える度胸のある選手です」

 当の本人も、焦点となる空中戦へ「結構メンタルも大事」。走り幅跳びの要領で、球の落下地点の遠くから高い打点を目指す。かつ、身体の向き、走る角度に独自の工夫を凝らし、向こうの長身選手の圧にも屈しない。企業秘密というコツを掴んだことで、自信を深める。

 味方のボールを追うシーンでも、敵が蹴り込むのに対応する場面でも、存在感を示したい。

「(駆け上がって)競るほうが得意なんですけど、レシーブ側のキャッチもしっかり練習していきます」

 高く跳びたいのはキャリアプランの上でも然りだ。

 立命大時代から、南半球のスーパーラグビーが好きだ。現地のWTBには、環太平洋にルーツを持つフィジカリティの鬼がずらり。その群れに日本人の自分が混ざり、クラッシュし続けたいと木田は言う。

「でも、先を見すぎず、目の前の1日、1日のトレーニングに集中したい」

 ジャパンでデビューを飾り、その流れで目標に近づきたい。

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