ブルーブルズに大敗し「悔しい」連呼のキヤノンPR城、スクラムには手応え?
(撮影:松本かおり)
日本最高峰トップリーグに加入4年目のキヤノンは7月31日、南アフリカのブルー・ブルズに3-50で敗れた(東京・町田市陸上競技場)。
「個人的にはすごく悔しいです」と嘆くのは、敗れたPR城彰だ。身長178センチ、体重114キロ。幼稚園児の頃から60キロはあったという不動の背番号「3」は、「もともと南アフリカのラグビーが好きで、自分がどうできるかを試したかったのですが…。勉強になった」と続けた。
世界ランク2位の同国にあって、南半球最高峰のスーパーラグビーでプレーする選手が多く揃う集団との激突。「勉強」になったものは「攻守の切り替え」の集中力と「ハングリーさ」だったという。
「(攻防が切り替わる瞬間の)1歩の、スピード。ここぞの集中力。そうした目に見えないものの積み重ねが(点差などに現れた)。相手にはハングリーな選手が多いと思う。僕らはチャレンジャーだったので、もっとやりたいことをやるべきだった」
光明はあった。スクラムだ。前半途中から自軍登録のHO(スクラムを組む際の専門職のポジション)の選手がすべて負傷したため、お互いがしっかりと組み合わない「ノーコンテスト」で試合を進めたが、それまでの間は「行けるという感じはあった」とPR城は言う。
先発したFWの平均サイズはブルー・ブルズが「190.5センチ、111.0キロ」だったのに対し、キヤノンは「181.3センチ、104.6キロ」。明らかな差があったなか、しばしキヤノンは低空飛行の塊となって、相手を押し返した。「キースさん」ことギデオン・レンシングFWコーチの指導のたまものだという。
「キースさんは芯が通っていて、ぶれない。かつ柔軟に対応してくれる。ぶれないところは、自分たちの押す姿勢(の徹底)、8枚(FW全員)で組むということ、悪かったら悪いと言うところ。しっかりついて行こうと思えます。マインドが変わった。自信を持ってやれているんで、トップリーグの開幕が楽しみです」
昨季、日本選手権を制したヤマハには長谷川慎コーチ、トップリーグで優勝したパナソニックには相馬朋和コーチと、強豪チームでは元日本代表のフロントローがスクラムの指導を施している。世界の潮流に沿ってセットプレー重視の傾向が高まる国内シーンにおいて、キヤノンはどんな存在感を示すだろうか。