日本代表 2025.04.28

高校時代の落選から奮起。松田向日葵[サクラセブンズ/追手門学院大]

[ 明石尚之 ]
高校時代の落選から奮起。松田向日葵[サクラセブンズ/追手門学院大]
161センチ、56キロと上背はないが、力強いランが魅力。兄の武蔵は狭山セコムラガッツのWTB(撮影:平本芳臣)

 名前の向日葵は夏(8月)生まれが由来する。母・葉子さん、父・光太(てるた)さんにあやかり、「葉が光を浴びてすくすく育つように」との願いも込められた。

 松田向日葵は追手門学院大に学ぶ新3年生。ハタチだ。

 この2月から女子セブンズ日本代表デビューを果たし、「HSBC SVNS」で世界を転戦している。
 その多忙な合間を縫って、このほど国内の大会にも参加した。

 4月20日、花園ラグビー場でおこなわれた「関西セブンズフェスティバル」である。
 香港、シンガポールでの連戦を終え、総合順位の上位8傑が進出する最終決戦、ロサンゼルス大会(グランドファイナル)に向けた国内合宿を翌日に控えていた。

「少し疲れはありますが、コンディション的には大丈夫です。みんな(追手門)と一緒にやりたかったし、試合に出ることは自分のレベルアップにも繋がる。特にコンタクトエリアは実戦でないと体感できないことが多いです」

 追手門には高校から通っている。実家のある神奈川から上阪した。
「大学生とできることが大きかったです」

 この日も花園第2グラウンドで高校と対戦。47-0で大勝し、格の違いを見せた。

「高校生たちが対戦してどう思ったか。それを大切にしてほしいです。私もそれで成長できました」

 中学時代からエリート街道を歩んできた。

 セブンズユースアカデミーには大和ラグビースクールに通っていた中学3年時から呼ばれ、高校2年からチャレンジャーチームの一員として太陽生命ウィメンズセブンズシリーズに出場。
 昨春の同シリーズでは4大会で計20トライを量産、トライランキング4位、日本人ではトップの記録を誇った。

 その夏にはフランス開催の「世界学生選手権」に参加する女子セブンズ学生日本代表に選出された。

 ここまでの経歴を見ると、順調にキャリアを歩んでように映るだろう。
 しかし、ひとつだけ逃した大会があった。

 高校3年の冬、NZ開催の「Global Youth Sevens」に参戦するU18女子セブンズ・デベロップメント・スコッド(以下、SDS)のメンバーに選ばれなかったのだ。

「タックルが全然できませんでした。それからはタックルを武器にしようと頑張ってきた。世界を相手にしても、低くタックルに入る気持ちが大事だと思いました」

 当時アカデミーやU18、学生代表のヘッドコーチを務めていたのが、現サクラセブンズのヘッドコーチである兼松由香氏だった。
「小さい頃からずっと一緒にやってきました。また一緒にラグビーができて嬉しいし、信頼している」という。

「厳しくされることもあるけど、その分、学べました」

 U18で落選した際も、逃げずに課題と向き合い、奮起できた。
「由香さんが選手のことを信頼して、絶対に勝てると思ってくれているから、それに全力で応えたいと思えます。練習がきつかったとしても、これをやれば勝てると信じています」

 12月にトレーニングメンバーとして女子SDSの合宿に招集され、年明けの2月、第4戦のバンクーバー大会で初キャップを得た。
 サクラセブンズ史上初の4強入りに貢献する。

「入ったばかりだったので、とにかく短い時間でチャンスを掴めるように、最初からエンジン全開でした」

 続く第6戦のシンガポール大会では、チームの選手、スタッフが選ぶサクラリボン賞(各大会で選出)が与えられた。

 大会を重ねるごとに見せ場を増やしているが、本人は「全然まだまだです」。

「自分のやるべきことをやり、少しずつアピールして、(2028年のロサンゼルス)オリンピックまでにチームの主軸になれるように努力したいです」

 5月3、4日にロサンゼルスで開催されるグランドファイナルは、文字通り世界最高峰の舞台だ。
「もう1回ベスト4に入って、今度はメダルを獲って帰りたいです」

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