サニックスワールドユース開幕 京都成章がNZ相手に健闘、東福岡は黒星発進
毎年ゴールデンウィーク期間中に福岡・グローバルアリーナで開催される「サニックス ワールドラグビーユース交流大会」が4月29日に開幕した。男子は、ニュージーランド、南アフリカ、オーストラリア、イングランド、カナダ、ロシア、韓国、中華台北からの招待チームと、国内の強豪高校8チーム(計16チーム)が5月6日まで熱戦を繰り広げる。
4組に分かれての予選リーグ初日、国内勢で白星発進となったのは3チームのみ。今春の全国高校選抜大会でベスト4入りした常翔学園(大阪)がジエングオハイスクール(中華台北)を40-0と圧倒し、佐賀工業がアールマリオットセカンダリースクール(カナダ)に47-0で快勝、そして長崎北陽台がペクシンハイスクール(韓国)に17-12で競り勝った。
初日に最も大きな拍手を浴びたのは京都成章だった。ニュージーランド勢として6連覇を狙うスコッツカレッジに15-28で敗れたものの、低く突き刺さるタックルを連発し、果敢に、しつこく食らいついて接戦を演じた。ブレイクダウンでも激しくファイトし、フルタイムで走り勝ったのは京都成章の方かもしれない。後半13分、つないで敵陣22メートルライン内に入り、テンポ良く攻め続けて途中出場のSH貴島由良がスルリと抜けた。終盤にはスクラムからのアタックでFB石田龍之介がチーム2トライ目を挙げている。
「一発、勝ったろかいなと思っていたんで、残念です。でも、よくやってくれました」と語る湯浅泰正監督は笑顔だった。
「アタックはもう少し行けるかなと思っていたんですけどね…。ディフェンスはまだまだ発展途上。横のディフェンスで相手のスピードについていけなかった部分がある。通用しなかった場合の引き出しを確認したり、さらに(対策を)見つけて構築したい。海外のチームと対戦できるという環境を与えていただいている。選手は自分たちで限界を作らないで、もっともっと伸びるんだとチャレンジして、どん欲になってもらえたらと思う。今日は本当に楽しいゲームをやってくれました」
一方、オープニングゲームで南アフリカのポールルースジムナジウムと対戦した東福岡は悔しさを味わった。昨季は全国タイトル3冠獲得、新チームとなって再び頂点への道を歩み始めたチームは、サニックスワールドラグビーユースの初戦は13-45と完敗だった。
南アはフォワードだけでなく、身長191センチ、体重108キロの右WTBなどバックスにも大型選手がいて、東福岡は圧力を受け続けた。ストーマーズ(スーパーラグビーチーム)の下部組織でも育成されているSOダミアン・ヴィレムセが別格のサイドステップでモスグリーン軍団の防御網を何度も切り裂き、ブレイクダウンも激しかった南アは計7トライ。東福岡は試合終了間際にキャプテンのFL服部綾が執念でゴールラインを越えたが、藤田雄一郎監督は「1トライ取って拍手をもらうようじゃ、申し訳ない」と厳しかった。
「圧力がすごかった。体格差がすごくあり、特にバックスは全然違った。フォワードはやれた部分もありましたけど、バックスはコンタクトが負けている分、細かくつながれた」
37点ビハインドの後半15分には、ゴールラインに迫りながらも相手の堅守にしびれを切らしたかドロップゴールを選択した場面があり、指揮官はそこに至るまでのフォワードの奮闘を台無しにした判断ミスに「まだまだ未熟」と怒りをにじませた。
それでも、途中出場のNO8小山湧斗などが果敢なタックルを連発したシーンもあり、次への収穫があったことも事実。
「こういう厳しいゲームで本当に強い選手が見えてくる。下手くそでもいいから、ガツガツ向かっていくというのがラグビーの本質だなと、改めて感じました」
藤田監督は言葉をかみしめ、2日目以降の巻き返しを誓った。
【プールA】
・ポール ルース ジムナジウム(南ア) 45 – 13 東福岡高校(福岡)
・エニセイ-STM(ロシア) 29 – 21 流通経済大学付属柏高校(千葉)
【プールB】
・トルロ カレッジ(イングランド) 42 – 5 尾道高校(広島)
・常翔学園高校(大阪) 40 – 0 ジエングオ ハイスクール(中華台北)
【プールC】
・スコッツ カレッジ(NZ) 28 – 15 京都成章高校(京都)
・佐賀工業高校(佐賀) 47 – 0 アール マリオット セカンドスクール(カナダ)
【プールD】
・ブリスベン ボーイズ カレッジ(豪州) 27 – 10 御所実業高校(奈良)
・長崎北陽台高校(長崎) 17 – 12 ペクシン ハイスクール(韓国)