大学選手権 帝京は笑顔なき白星発進 朝日大惜しくも歴史的勝利ならず
第51回全国大学ラグビー選手権大会のセカンドステージが12月14日に開幕し、16チームが4組に分かれ、各プール総当たりの初戦に臨んだ。
連続優勝の記録を更新し続け、6連覇の偉業に挑む帝京大は、福岡・レベルファイブスタジアムで白星発進。関西大学Aリーグ4位の天理大を43−3で退けた。攻めては7トライ、相手には一度もゴールラインを割らせず大差となったが、ミスが多く、高みを目指す王者にとっては不満足な内容だった。キャプテンのSH流大は気を引き締める。
「天理大の気迫あふれるタックル、ブレイクダウンで、多くの時間、受け身になってしまった。結果的に勝利を得ましたが、自分自身もチームも甘いプレーが多く、本当に反省材料が多い内容でした。この試合は、もう一度自分たちの足元を見つめ直す機会になったと思います。気迫やファイトの部分を天理大学さんに学ばせてもらったので、それを次の朝日大学戦、それから続く大学選手権に活かしていきたい」
3大会連続3回目の大学選手権出場で、2季連続のセカンドステージ挑戦となる朝日大は、関東大学リーグ戦1部3位の法政大を相手に健闘したが、19−54で敗れた。キックオフボールをキープして、1分も経たぬ間に先制トライを奪い、勢いづいてその後二度ゴールラインを越え、前半を19−12で終える。大学選手権では毎年のように、地方代表のチームが関東・関西の強豪相手に大敗を喫する姿を見るが、躍動する朝日大の選手たちを目の当たりにした人のなかには「歴史的勝利」を予感した者がいたかもしれない。
しかし、キーマンのNO8シオネ・バイラヌが前半35分にイエローカードをもらい、流れが変わった。ラインアウトからモールで押し込んで自らチーム3トライ目を挙げ、嬉しさのあまりボールを地面にたたきつけた。が、不運にもそこには法政大の選手が倒れていて、レフリーに「不行跡」と判断され、10分間の退場となってしまったのだ。
「つい興奮してしまって…。わざとやったわけではないんです…。でも、あれで流れを悪くしてしまった。チームメイトに申し訳ないです」と試合後、トンガ出身の好青年はうなだれた。
バイラヌが不在の間に得点し、リズムを取り戻した法政大は後半だけで42得点。勇敢なチャレンジャーを退けた。
朝日大は次、最強軍団の帝京大に挑む。最終戦の相手は天理大だ。もしかしたら、ファイナルステージ進出争いには加わらないかもしれないけれど、朝日大がプールAを熱くさせる存在であることは間違いない。
大阪・近鉄花園ラグビー場では、関東大学リーグ戦1部で優勝した流通経済大が京都産業大(関西大学Aリーグ2位)を55−7と圧倒。京都・西京極総合運動公園で明治大(関東大学対抗戦A3位)と対戦した関西チャンピオンの関西学院大は、リードされて迎えた後半39分にFWのパワープレーでトライを挙げ、ゴール成功で4点差に迫ったが、ホーンが鳴ったあと自陣からのアタックは叶わず逆に明治にトライを許し、10−21で敗れた。
そのほかの結果は以下のとおり。早稲田大、慶應義塾大、筑波大、東海大も白星発進となった。
※ 勝ち=5点、引き分け=2点、敗戦=0点
※ BPはボーナスポイント。4トライ以上獲得で1点、7点差以内の敗戦でも1点が与えられる。
※ APはアドバンテージポイント。地域所属リーグ戦で1位だったチームには3点、2位には2点、3位には1点がそれぞれ加算される。