世代別代表落選ばねに鶏むね肉摂取。東海大・薄田周希の確かな「感覚」
転んでもただでは起きない。リーチ マイケルら多くの日本代表選手を輩出した東海大ラグビー部にあって、挫折をきっかけに伸びた現役部員がいる。
2年生の薄田周希だ。加盟する関東大学ラグビーリーグ戦1部を6連覇するまでに、慎ましくも勇ましく好感触を口にした。
「シーズンを通して、当たり負けしているという感覚はあまりないです」
2021年度、東海大大阪仰星高の主将として全国優勝。同時に、20歳以下(U20)日本代表候補へ飛び級で名を連ねた。FWの最後尾にあたるNO8として、世代有数のコンタクト力を発揮した。
昨季は内部進学した東海大でも主力のFLとして活躍。タックルの質と量で光った。
思うに任せぬ出来事に直面したのは、今年の春のことだ。
折しもU20日本代表が、ウイルス禍を経て4年ぶりに世界大会へ挑むことになった。薄田も晴れて候補入りも、正代表には入れなかった。
悔しさを晴らすべく、具体的な行動に出た。落選理由が「サイズ」だったと知るや、身体作りを見直した。
「ウェイトトレーニングでは『普段の重量よりもう少し上』を目指そう…と。食事では朝、昼、晩のほか、間食も増やしました。間食は、高たんぱく低脂質。僕がやっていたのは、寮で鶏むね肉を低温調理して(キャンパスやジムなどに)持っていき、それを食べることです」
地道な積み重ねの効果を、次第に実感してゆく。
もともと「90~92キロ」だった体重を、夏合宿時には「97キロ」に増やした。やや絞ってか、秋の時点での公式サイズは「身長180センチ、体重94キロ」で登録。「当たり負けしている感覚はあまりない」うえ、「増量してもスピードは落ちることもなく、継続的に走れている」とも述べる。
「意識が変わった。やるべきことが見えた。落ちて、よかったのかなと」
こうも語った。
「今季は、この体重でいきます。ただ、(来季は)まだ、増やせる」
12月23日から、チームは大学選手権へ挑む。
悲願の初優勝へは、2連覇中の帝京大など力自慢とのぶつかり合いは避けられない。苦い思いを肥やしにした青い戦士が、臆せず突き刺さる。