国立で今季対抗戦最終戦に勝ち、立川で語り合う。一橋大、3連勝でシーズンを終える
4年間、情熱を注いだクラブでの対抗戦ラストゲームで勝利を手にした。
一生忘れない日になった。
11月26日、東京都国立市。関東大学対抗戦Bの一橋大×上智大は、一橋大が24-21と競り勝った。
この日で2023年度シーズンの全日程を終えた同リーグ。一橋大は5位となった。
シーズン前に立てた目標、Aリーグとの入替戦出場はならなかった(2位以上)。
武蔵大、東大、明治学院大、日体大に敗れて開幕4連敗。しかし、そこから3連勝。
笑顔で対抗戦を終えることができた。
上智大との試合は白熱した戦いとなった。
前半11分、LO村山直人主将のトライで先行した。
しかし28分には追いつかれ、38分にはPG追加で10-7。そのまま前半を終えられるかと思ったが、ハーフタイム直前にトライ、ゴールで10-14とリードを許した。
後半も、最大得点差は4点という展開。リードする側が3度入れ替わった。
スクラムで優位に立つ一橋大。上智大はSO内田速人が積極的にボールを動かした。
後半21分、上智大にトライ、ゴールを追加されて17-21とリードされた一橋大は、最終盤に好機を逃さなかった。
後半36分、1年生CTB松尾尚寛がトライ、ゴールを決める。逆転時には、観戦していたOBや友人、家族から大きな声があがった(24-21)。
ラストシーンは自陣の深い位置。上智大にトライラインへ迫られるも防ぎ切った。
池田韻レフリーがフルタイムの笛を吹く。赤×黒のジャージーは拳を突き上げ、エンジの側は地面に膝をついた。
戦いのあと、村山主将の表情が清々しかった。仲間との一体感を感じた者の充実感があった。
最後の最後まで競る展開。主将はハドルの中で、「1 年間やってきたことを信じよう。全員でやってきたことを出そうと繰り返していました」という。
泥臭さこそ、自分たちのスタイルだ。
同主将は湘南高校から一橋大に進学した巨漢LOだ。187センチ、108キロの体躯を誇る。
188センチ、97キロの5番、後藤聖龍とのコンビで、この日もFWを引っ張った。
開幕4連敗で始まった今季。早々に入替戦進出の目標を失った。
そこから立ち直れたのは、未来へ目を向けたからだ。戦いも、部の歴史は続くのだから心を折ってはいけない。
「下級生も多く試合に出ているチームです。伸びしろもある。1試合ごとにチームとして成長していこうと切り替えました」と主将は話す。
高校卒業時、真剣にラグビーを続けたいと考え、この大学へ進学した。
しかし待っていたのはコロナ禍。部員確保に苦労し、実戦形式の練習を思うようにできない苛立ちもあった。
「なので、ハンドリングやブレイクダウンなど、細かいところにフォーカスし、やれることをやって、なんとか力をつけていこう、とやってきました」
スクラムの強さは、細部へのこだわりの結果だろう。積み上げてきたものは勝負どころで強い。
節目の試合が終われば、大人数で夜の街に繰り出す。この夜も、立川へ向かった。
4年生同士、いろんなことを語り合うだろう。この先の人生で、その内容をきっと何度も繰り返し口にする。
話を聞いていた3年生たちが、来年以降のチーム作りに生かすべきことも、その中にはいくつもある。
短く感じる夜が、部の長い歴史の、大事な一部になることは多い。