211センチのサイズで来日時から話題。ジュアン・ウーストハイゼンのいま。
この国に来た瞬間から、注目の的だった。
南アフリカ出身で身長211センチ、体重132キロという世界トップクラスの体格を誇るジュアン・ウーストハイゼンは、東洋大ラグビー部で2シーズン目を迎えている。
「日本を楽しんでいます。帰省できるとしてもわずかな時間とあって母国が恋しくなることもありますが、ハードワークに集中することで気を紛らわせています」
語ったのは10月21日。この午後は加盟する関東大学リーグ戦1部で、今季初黒星を喫した。
場所は群馬のアースケア敷島サッカー・ラグビー場。大東大戦のスコアは31-33だった。
東洋大は、前半を7-21とリードされた。接点へのサポートが遅れがちだったためだ。概ねスクラムでの優位性を保っていたのもあり、後半14分には24-21と勝ち越すことはできた。ただ、試合終盤もやや攻めあぐねた。
2年の小泉柊人はこうだ。
「自分たちの時間帯になったところを(本当の意味で)そうしきれず、(チャンスを)ものにできなかったと感じました。大東大さんの勢いのあるプレーに対してもっと自分たちから仕掛けられればよかった」
LOでフル出場のウーストハイゼンは、前向きに語る。
「(得点の)機会をいくつか失った。ちょっとの差だった。また次に向けて練習するだけです」
現在8チーム中3位。大学選手権に行けるのは上位3傑だ。2大会連続2度目の選手権出場へ緊張度が高まるなか、21歳のウーストハイゼンは進歩の跡を覗かせる。
突進役としてタックラーを下敷きにし、向こうの反則を誘うシーンを作った。
空中戦のラインアウトでは、捕球役としてサイズを活かしている。ルーキーイヤーはほとんど飛ぶことがなかったとあり、チームがボールを得るバリエーションを広げた格好。投入役でHOの小泉は「だいぶ、投げやすいです」と話す。
ウーストハイゼン自身はこうだ。
「昨年は日本で多くを学びました。さまざまなことに挑戦したことで、ラインアウトでも成果を出せています」
昨季から、チームが連携協定を結ぶ埼玉パナソニックワイルドナイツのグラウンドでもトレーニングをおこなう。無形の力を育んでもいる。
「もともと、自分の意見を言うことへの恐れがありました。ただ、ワイルドナイツの練習に行き、意見を言うことの大切さを感じました」
チームを率いる福永昇三監督は、ウーストハイゼンの進歩をこう見ている。
「フィットネス(体力づくり)に自分から取り組むようになり、運動量が格段に上がりました。ラインアウト、スクラム、モールと地味なところで身体を張って、いい影響を与えるようになっています」
本人もうなずく。全体練習後にグラウンドの周りを走ったり、ワットバイクを漕いだりしているという。
「日本に来てから、早く適応するには戦い続けるためのフィットネスが大きな要素になると感じました」
遠いフランスの地では、4年に一度のワールドカップがおこなわれている。
少年時代のウーストハイゼンが一緒に写真を撮ったことのある、204センチのエベン・エツベスは31歳。現役の南アフリカ代表LOだ。今度のワールドカップでは前回に続き決勝戦に進み、2大会連続4度目の世界一を見据える。
プール戦2勝2敗に終わった日本代表では、202センチのワーナー・ディアンズがプレーした。ウーストハイゼンと同い年だ。
世界の舞台にさまざまな年代の長身選手がひしめくなか、ウーストハイゼンは将来の目標を聞かれた。
「急がなくてもいい。一歩、一歩です。目標な日本でプロになることですが、まずはいまの大学のキャリアでいい成績を残したい」
29日には埼玉・セナリオハウスフィールド三郷で、リーグ戦1部・2位の流経大とぶつかる。