NZが堅守とセットピースの強さ発揮しアルゼンチンを圧倒 4度目のW杯制覇へ向け決勝進出
8年ぶりの王座奪還、そして最多記録更新となる4度目のラグビーワールドカップ優勝を狙うニュージーランド代表“オールブラックス”が、2023年フランス大会で決勝進出を決めた。パリ郊外のサンドニにあるスタッド・ド・フランスで現地時間10月20日、アルゼンチン代表と準決勝を戦い、44-6で快勝した。
アルゼンチンに先制のペナルティゴール(PG)を許したニュージーランドだったが、前半11分に反撃してゴールに迫り、FWがディフェンスを引き付けたあとボールを大きく動かし、WTBウィル・ジョーダンがトライゲッターとなり逆転した。
16分には堅いディフェンスでターンオーバーすると、カウンターでCTBリーコ・イオアネやSOリッチー・モウンガなどが大きくゲインして敵陣深くに入り、チーム一体となった連続攻撃でチャンスとなり、CTBジョーディー・バレットがフィニッシャーとなった。
その後も、ニュージーランドは辛抱強いディフェンスで相手に流れを渡さなかった。
そして、両チームともPGでスコアを動かし、迎えた前半ラスト、ニュージーランドはスクラムで圧倒して敵陣深くに入ると、根気よく攻め続け、WTBマーク・テレアが軽快なフットワークで次々とディフェンダーをかわしてゴールに迫り、すばやくリサイクルしてFLシャノン・フリゼルがインゴールに持ち込み、20-6で折り返した。
ニュージーランドは後半の入りもよく、キックオフで相手にノックオンがあって敵陣でのスクラムとなり、またも黒衣のパックが圧倒、ボールをもらったSHアーロン・スミスが俊敏な動きでディフェンダーをかわしてゴールへ走りきり、リードを広げた。
49分(後半9分)にはSOモウンガの好走で敵陣深くに入ってフェイズを重ね、最後はFLフリゼルが力強いレッグドライブで粘るアルゼンチンのディフェンスを崩した。
攻守ともに安定したニュージーランドはその後もゲームの主導権を握り、WTBジョーダンが足技も見せてハットトリックを決め、相手にはトライを許さず、快勝となった。
敗れたアルゼンチン代表のHOフリアン・モントージャ主将は、「今日は、自分たちが見せたかったレベルには程遠い。ガッカリしているし、本当に残念だ。ミスが多かったし、セットピースももっとよくやれた。決勝でプレーするという夢は終わったが、やるべきことはまだ残っている」と語り、3位決定戦へ向けて前を向く。
マイケル・チェイカ ヘッドコーチもニュージーランドに匹敵するレベルではなかったと完敗を認め、それでも、「まだ終わっていない。メダルを持って帰りたい。来週は私たちにとって大事な週だ」と述べ、2007年大会以来2度目の3位入賞を目指す。
一方、勝ったニュージーランド代表のイアン・フォスター ヘッドコーチは、「ディフェンスで粘り、冷静さを保ち、ゲームをコントロールし、ボールを奪ったときにはしっかり得点することができた。ハーフタイム前の3、4分間は非常に重要だった」と振り返る。
FLサム・ケイン主将は「セットピースやモールなどで優位性を獲得し、アルゼンチンに多くのプレッシャーを与え続けた。フォワードは素晴らしい仕事をしたと思う」と評価。
そして、最多タイ(19回)のタックルをするなど奮闘してプレーヤー・オブ・ザ・マッチに選ばれたCTBジョーディー・バレットも、フォワードが大きな基盤を築いたと振り返り、決勝へ向けては、「多くの選手たちにとっては新しい領域だ。4年前、僕らは準決勝のハードルで足を踏み外した。まだ終わっていない。あと一週間。相手が誰になっても厳しい試合になるだろう」と気を引き締めていた。
5度目の決勝進出となったニュージーランド代表は、現地時間10月28日に同会場で、イングランド代表×南アフリカ代表の勝者と対戦する。