流れ変え、勝負を決めた! 早大、FL布巻副将の活躍で筑波大制す!
関東大学対抗戦Aで昨季2位の早大は28日、東京・秩父宮ラグビー場で今季2戦目をおこない、同3位の筑波大を19−15で制した。後半から出場のFL布巻峻介副将は、試合終了間際に逆転トライを決めるなど活躍した。
表情変えぬ千両役者は、この日も健在だった。
左膝の調子に波があるためハーフタイム明けからの出場も、グラウンドに出るや仲間に活力を与える。「チームの核。いると士気が上がる」とWTB荻野岳志が言えば、SH岡田一平は「ブレイクダウン(ボール争奪局面)では布巻さまさま」。
5−15とリードされ迎えた後半4分頃だ。背番号「19」をつけたFL布巻副将は、自陣中盤の相手の密集に腕を突っ込む。ボールに掌をかける。そのまま奪ったか。否。ラックのなかで手を使うハンドの反則を取られた。
「あれ、僕のなかでは、OKだったんですけど…。でも、手を出すより、越える方に変えた。きょう、ハンドは取られると思ったんで」
たったワンプレーでレフリーの判定基準を察知、この日のブレイクダウンにおける作法を決めたという。むやみに球をむしり取るより、球を守ろうとする相手サポートを押しのけるべきだ、と。
そして10分、自陣22メートルエリア右でのピンチの場面である。「19」は相手の密集に思い切り身体をぶつける。ボールも相手も向こう側へ吹っ飛ばし、さらにその地点に突っ込んだ。
「ボールから目を離さなかったのはよかったかな、と。押しながら、考える、というか」
最も効果的なボディーブローが打てそうな箇所を探りながら、最後は「(味方に)ボールを」の一心で抗った。結果、筑波大のハンドを誘った。10分後、点差は12−15と縮まった。
後半ロスタイム。逆転を狙うラストワンプレー。ミスなく球をつなぐ早大が敵陣ゴール前に進む。SH岡田がラックサイドから球を持ち出すと、折り返しのパスを要求した「19」がそのままゴールラインを破る。トライ。スタンドが沸くなか、淡々ともとの立ち位置に戻る。直後のゴール成功を経て、ノーサイドの瞬間を迎えた。
ミスの多い試合内容に、後藤禎和監督は「よく、勝てたな」と不満足そうだった。2008年度以来の大学日本一に向け、課題は大小あろう。それらを効果的に解決する方向性を、試合後、殊勲の「19」はさらりと口にしたのだった。
――今年は最終学年。意気込みを聞かせてください。
「うーん。やっぱり、優勝という形で終わりたい。でも、自分は学年に関係なくその目標を持ってきたので。4年生だから、というのではなく、皆を4年生のような感覚で戦わせてあげたい」