【タグフットボールW杯2023/アイルランド大会】日本男女混合チームが歴史的な1勝
9月に開幕するラグビーワールドカップフランス大会を目前にして、8月1日〜5日にアイルランドのリムリック大学ではタグワールドカップ(以下、W杯)が開催された。今回が第4回目の大会だ。
タグフットボールは、体の衝突がなく、年齢や性別を問わず楕円球を楽しむことができる(8人でプレー/キック可)。
オーストラリアをはじめ、ニュージーランドやイギリスなどで人気のスポーツであり、世界の競技人口は約25万人と言われている。
日本のタグフットボールの歴史はまだまだ浅く、2013年に日本タグフットボール協会が創設された。競技人口は2000人程度と言われている。
そのため、今回の日本チームのメンバーも、ラグビーやタッチラグビー、ビーチラグビー、バスケットボールなど他のスポーツの経験者が多数参加している。
また、W杯への参加費や渡航費は選手自身が負担しなくてはならないことから、メンバーの確保も常に課題となっている。
そのような環境下で挑んだ過去のW杯の戦績は、2015年に開催された第2回大会で男子40歳以上チームがトンガから1勝のあげたのみと、世界との差はまだまだ大きい。
今回の大会は、男子、女子、男女混合の3種目に加えて年齢別のカテゴリーが追加され、計13の競技が実施された。
日本チームは、男子オープン(年齢制限無し)、男子50歳以上、男女混合オープンの3つのカテゴリーに出場した。
男子オープンと男子50歳以上チームは、接戦となる試合もあったが、残念ながら一歩及ばず4日間の大会を終えた。
そんななか、男女混合チームが快挙を成し遂げた。
予選リーグ初戦に強豪のイギリス代表に敗れるものの、2戦目のフランスバーバリアンズ(フランス代表の下位チーム)との接戦を5-4で制し、男女混合チームでは史上初となる勝利を挙げた。
予選リーグは1勝3敗の4位。続いておこなわれた下位チーム同士で争う順位決定戦リーグでは、さらに2勝を挙げた。フランス代表との7位決定戦へと進出した。
惜しくも7位には届かなかったが、この戦績は日本タグラグビーの歴史に残るものとなった。
初勝利のホイッスルの後、大粒の涙を流す2人の選手がいた。
相川幸樹と相川くるみは夫妻で男女混合チームに参加、長年タグフットボールをプレーしている数少ないメンバーだ。前回のW杯にも2人で出場した。
相川くるみは涙ながらにこう語った。
「女性の選手が集まらないため、男女混合チームは参加しないと協会から通達があった。期限までに選手を集めるという条件で保留してもらい選手を集めた。最後まで諦めなくて本当によかった。一人でも多くこの仲間と次回のワールドカップも一緒に戦いたい、そして、日本でタグフットボールの素晴らしさをもっと広めていきたいと思います」
相川夫妻は日本でのタグフットボールの普及にも力を注いでいる。
毎週土曜日の朝9時には多摩川河川敷にて誰でも参加できるタグフットボールを開催している。
「日本タグフットボールの新たな歴史を作れたことが何より嬉しい。過去のワールドカップを通じて各国の代表選手に友人も増えた。タグフットボールで広がる世界をもっとたくさんの人にも経験してもらいたいですね」
男女混合チームで今大会最多トライをあげた相川幸樹は満面の笑みでそう語る。
今後の日本のタグフットボールの発展を心から応援したい。