花園優勝主将が大学デビュー。早大・堂薗尚悟、定位置争う主将とペダルを漕ぐ日々。
期待されて入った志望校で力を示した。
9月27日、東京・秩父宮ラグビー場。早大ラグビー部1年の堂薗尚悟は、前年度8チーム中3位だった関東大学対抗戦Aで初先発した。
先頭中央のHOとして後半23分に退くまで、果敢に突進し続けた。味方FWが固まって作るモールから2トライも決め、昨季最下位の立大を67-3で下した。
「めちゃくちゃ緊張していたんですけど、上級生が『自分のやるべきことをやるだけだ』とサポートしてくれて。本当にそれが心の支えというか、それによって思い切りプレーができました」
神奈川の桐蔭学園高で主将を務めた。高校2年時から高校日本代表候補に名を連ね、昨季は東大阪市花園ラグビー場での全国高校大会で3連覇を果たした。最終学年時の同代表ツアーには肩の故障で参加できなかったが、全国優勝16度の早大における注目株なのは間違いなかった。
身長174センチ、体重105キロのサイズにあって、衝突局面で前に出られる。
本人は「身体は小さく、中身も鍛えられていない。これから少しずつ積み上げてレベルアップしたい。1日でも早く相手と対等なレベルで戦えるよう頑張っていきたいです」とさらなるフィジカリティ強化を誓うが、パワーに頼らず前進する術もアップデートする。持ち前のボディバランスで、迫るタックラーをセンチ単位でかわす。
「高校生くらいから背も成長しなかったので、ただぶち当たるのではなく技を使って当たらないと…と学ぶことが多かったです」
そもそも高校時代に早大を志望したのも、この「小さい」という自己分析に基づいてのことだ。この伝統校のスタイルをわかったうえで語る。
「他の大学よりも小さな身体で、速くテンポのあるラグビーをすると理解しています。そこに自分がはまるかなと。佐藤健次さん(早大OBで現埼玉パナソニックワイルドナイツ)など桐蔭(学園)の先輩方からも『合っていると思う。そういう(明確な志望)理由があるんだったらワセダがいいよ』と」
都内の上井草グラウンドをくぐれば、望んだ以上の学びが得られた。大きな選手に競り勝つためのスキルや心構えはもちろん、コンディショニングへの意識を高められた。
「全員が一番いいパフォーマンスを出そうとする。その姿勢が尊敬できるし、これを周りの皆に教えて(クラブ全体が)高いレベルになれるようにしていければ…と思います」
4年生SHの大賀雅仁が、練習後の交代浴などケアに時間を割いているのがわかった。
同じポジションの清水健伸主将は、練習後のバイクトレーニングを疲労回復に繋げていた。
清水がひとりでペダルを漕いでいるところへ「僕もいいですか」と声をかけ、2人でサドルにまたがるようになった。昨年の23歳以下日本代表でも船頭役だった中心選手へ積極的に話しかけられるのは、常に「わからないことはちゃんと聞こう」と心がけるからだ。
「寮生活なのでラフに話しかけられる。それに、4年生はめちゃくちゃ優しいので」
清水には技術面でも教わる。練習の動画をチェックしながら、攻撃中に球を両手で持つ意味合いを「投げる、当たるというふたつのオプションを使えるよね」と伝えてもらった。
堂薗にとっての清水は、大学シーンで生き抜く術を伝授する師匠でもあり、2番のジャージーを競い合う好敵手でもあるのだろうか。その仮説にルーキーは笑う。
「(定位置を争うため)憧れてしまうとだめなのですが、師匠、というところはあります。たくさん見て、学んで、吸収して、実践していこうかなと」
就任6年目の大田尾竜彦監督はこの日、堂薗を含む5名の新人を先発で起用した。
LOの笹部隆毅とFBの吉廻温真は、12日の開幕節から2戦続けてスターターとして白星を掴んでいた。堂薗とSOの竹山史人は初戦こそリザーブもこのほどスターティングメンバーとなり、欠場していた清水、3年生司令塔の服部亮太の空席を埋めた。さらには東佑太も、アウトサイドCTBで抜擢された。
堂薗や東は、控え組の臨む大学ジュニア選手権のゲームで動きがよかったと指揮官は言う。
「選手層を厚くしながらチームを活性化したいこと(思い)が一番、大きい。自分たちが上井草でどういうスタンダードでやれているかを大事にしながら過ごしている。今後も上井草でパフォーマンスを発揮した人間にジャージーを着せようかなと思っています」
対抗戦の残り試合は、次の青学大戦(10月11日/群馬・森エンジニアリング桐生スタジアム)を含め5戦。その後は上位5傑の進める大学選手権がある。
今後の目標を聞かれた堂薗は「最初は『健伸君がこうプレーするから…』と思うところもありましたが、いまは試合に出たら自分にしかない強み——ボールキャリー、コミュニケーション——を発揮していきたいです」と即答する。



