
スプリングボクスとオールブラックスによるラグビー界最大のライバル対決「Rugby’s Greatest Rivalry」。運営の舞台裏
このツアーは”総合ファン体験”として設計されている。
「メッセージの一つは『I was there(自分はそこにいた)』です。20年後、30年後に”あの場にいた”と言える体験にしたい」
特にオールブラックスが1996年以来初めて本格ツアーをおこなうことが、その特別感を高めている。チケット体系も、多様なファン層に対応するよう設計されている。
「会場ごとに4〜5段階のカテゴリーを用意しました。ホスピタリティーとは別にプレミアム席もあります。ハーフウェイライン、トンネル付近、国歌斉唱を間近で見たい人たちは、その価値にお金を払うのです」
また、価格設定は国際基準に合わせているという。
「プレミアム席が約2000ランド(約2万円)、つまり約100ポンドですが、海外では170〜180ポンド(3万6000~8000円)が一般的です」
そして彼は”現地観戦の価値”を強調する。
「なぜテレビではなくチケット代を払うのか、と言われます。現地では焼かれるオニオンの匂いも、観客の声も、空気も感じられる。そこが違うんです」
現在の試合日は、もはや80分間の試合だけではない。
「いまでは12時間イベントです。ゲートが開いた瞬間から体験が始まっています」
ファンビレッジ、ステージイベント、スポンサー体験などが終日展開される。
「スプリングボクスには17社のパートナーがいて、その多くが試合日にファン向け施策を行います」
キックオフ直前の演出も緻密に設計されている。
「音楽、パフォーマンス、チーム入場、航空ショー…すべてが一つの瞬間へ向かって盛り上がるんです」
試合後もイベントは終わらない。
「ファンは再びファンビレッジへ戻り、飲食やエンターテインメントを楽しみます。チームが勝てば、滞在時間がさらに伸びるのが数字にも表れています」
会場へ来られないファン向けには、「Bok Town」ファンパークも全国で展開される。
「テストがケープタウン開催でも、グケベハ(ポートエリザベス)やブルームフォンテーンにBok Townを設置するかもしれません。どこにいても”共有体験”を届けたいのです」
「ラグビーだけではなく、一生忘れられない体験を作ることが目的です」
このツアーは国家レベルの高警備イベントとして扱われる。
「国家保護イベント指定を政府に申請しています。政府治安組織も全面関与しており、ほぼ”国家元首来訪”レベルです」
警備計画には警察、交通警察、民間警備会社などが関与する。
「各州で南ア警察主導の緊急会議がおこなわれます。必要ならイベント中止権限すらあります」
両チームには専属警備チームも同行する。
「移動はブルーライト先導付き。審判団にも専属警護官が付きます」
練習場やホテルの管理も厳格だ。
「公開セッション以外の練習は完全非公開です。ホテルも専用フロアを使用します」
食事管理も徹底される。これは1995年ワールドカップ決勝前の”スージー事件”――オールブラックス毒物混入疑惑――がいまなお語り継がれているためでもある。
「チームマネジメントの承認なしに提供される食事はありません」
このツアーでは、クラシックなラグビーツアー文化の復活も目指している。シャークスはキングス・パークでの対オールブラックス戦で特別ジャージーを着用する。
「オールブラックスもシャークスも黒です。ではどうするのか?シャークスに聞いたんです。グレーや白のオールブラックスジャージーと交換したいですか?それとも本物の黒?と」
答えは明確だった。
「だから特別ジャージーを作ることになりました」
またNZ側も、記念トロフィー文化を復活させる。
「もし相手が勝てば、記念品を贈るんです。それも伝統の一部です」
「選手によっては一生に一度しかオールブラックスと対戦できないかもしれない。国歌を聴き、ハカを見て、試合後にジャージー交換をして、一緒にビールを飲む。それがツアー文化なんです」



