国内 2026.04.29

早大2年のLO宮川侑大、アカクロデビュー。富山の無名高からレギュラー定着に挑む

[ 見明亨徳 ]
早大2年のLO宮川侑大、アカクロデビュー。富山の無名高からレギュラー定着に挑む
アカクロデビューした早大LO2年、宮川侑大。全国では無名の富山・砺波高出身だ(筆者撮影)

 早大は4月26日、2026年シーズンの公式戦初戦となる関東大学春季大会の筑波大戦をホーム上井草グラウンドで戦った。試合は前半2分、今季のキーパーソンの一人であるNO8松沼寛治(4年、東海大付属大阪仰星)がトライラインを越えるなど、前半で5トライを奪う。計7トライの45(前半31-7)12で完勝した。昨季、対抗戦2位に躍進した筑波大を寄せ付けなかった。

 この試合でアカクロジャージーの5番を背負い先発、公式戦デビューを果たしたのが宮川侑大(2年)だ。富山県、全国では無名の県立砺波高出身。191センチ、107キロと部内で2番目の身長と体躯を生かし、ラインアウトジャンパー、ブレイクダウンでの絡みなどを見せた。

 早大が21-7とリードする22分すぎ。筑波大が攻め込む。宮川は躊躇せずにブレイクダウンへ入る。ボールに手をかけて出させない。奪うことはできなかったがノットリリースのペナルティを得た。思わず「雄叫び」をあげた。仲間から祝福される。

前半22分すぎ。ブレイクダウンでノットリリースを勝ち取り雄叫びをあげた

 このPKから早大はラインアウトへ。さらにゴール前5メートルのスクラムを起点にCTB島田隼成(3年、修猷館)がチーム4本目のトライをマークした。

宮川のビッグプレーが早大CTB島田隼成のトライへつながる

「試合では、自分の強い場面を見せられるところもあったのですが課題も出た。自分の強みを出せたという点では良い試合でした。『スクラムで自分が押す意識と、一つひとつのコンタクトで絶対、負けずに前へ出ろ!』と言われていて意識してやれました」とデビューの感想を淡々と話す。課題は「アタックのコミュニケーション」と理解している。

 宮川について、U20日本代表ヘッドコーチの経験もある同じLO出身の遠藤哲FW統括コーチは「責任をもってやってくれている。素材は一級品。吸収しようとする力はある。失敗してもいいからボールを持てとか。失敗していいからと言った方が殻を破れる」と長所を伸ばす。

 無名高の宮川が全国レベルの眼にとまったのが2023年、高校2年時の菅平高原でのコベルコカップだ。U17北信越代表で出場し、チームの主将を務め4番で4試合を戦う。対U17関東(●0-74)、対U17北海道(●0-12)、対U17東海(●7-22)、対U17四国(●26-28)と全敗も、104分間ピッチに立った。激しいタックルが評価され、U17日本代表に選ばれた。

 宮川は、ラグビーを高校で始めた。小学1年生から中学3年生までは柔道に打ち込んだ。しかし地域の進学校、砺波高には柔道部がなかった。人数不足に悩むラグビー部の先輩から「ラグビーで活躍できる」と勧誘を受けて入部した。初心者だが格闘技経験が基礎にあった。「人とぶつかる時が一番楽しい。楽しみながら強くなれた」と話す。誘った先輩に楕円球の世界は感謝だ。

 ラグビーを始めてわずか1年3か月余りで高校生世代の代表へ。同年8月23日~29日、コロナ禍の終息を経て4年ぶりに開催された「第31回、日韓中ジュニア交流競技会」(ラグビーは和歌山県上富田スポーツセンターが会場)に出場。対U18韓国代表(○64-0)は後半9分まで左LOでピッチに立った。対18中国代表(○62-12)は60分間やり切った。

 砺波高は1984年度の「第64回大会」で初めて全国大会(冬の花園)に出場。69回大会まで6回連続出場を遂げた。以後は71回、72回、76回、80回、83回、85回(2005年度)の計12回、全国へ進出している。

 そんな県内の名門も最近は富山第一にその座を奪われてきた。現在は部員も単独出場に足りない。宮川が2年時、合同チームとして富山第一に決勝で10-51と敗れた。合同は砺波、砺波工業、高岡第一、龍谷富山の4校。宮川はNO8としてU17代表で学んだことをチームに伝えるも、願いは叶わなかった。

 翌年は1回戦で合同チームは敗退。富山工業52-10合同という結果だった。この試合は7校=砺波、砺波工業、高岡第一、龍谷富山、高岡、南砺福野、入善でチームを組んだ。引退後は、黙々と早大を目指してトレーニングに取り組んできた。

 自己推薦で早大スポーツ科学部に合格し、2025年春、ラグビー部へ。昨年はC、Dチームに置かれた。6月にあった明治大1年生との新人戦には右LOで出場。全国レベルを経験した同期から、ディフェンスの位置取りを再三、指摘されていた。動きもぎこちなかった。

 ただその時も、「周りのレベルやスキルは高い。フィジカルでは負けていない」と感じた。「去年からフィジカル部分は、成長するために継続して取り組んでいます。加えて体の使い方の部分も考えながら」。そして今春、Aチームへ呼ばれた。4月の中央大Aとの練習試合は右LOで先発。前半のみも62(前半40-0)7中大と勝利に貢献した。

 間近で見てきた同じ富山県出身で2年先輩、河岸桜子マネージャー(4年、富山中部高)は宮川の1年間を「心の面で成長していますね」と指摘する。両親、砺波高・城石敦也監督、さらに合同チームの監督、先輩、同期、後輩たちからも応援を受けている。期待を裏切りたくない。

「東京で生活して経験したことで心の部分も成長していると思います。早稲田に来たからこそ成長している。今の状況で成長して少しでもチームに定着する」

 早大は5月10日に招待試合として、青森県弘前市で初の「早慶戦」を戦う。関東春季大会2戦目は17日の東海大戦だ。東海には砺波高の1年後輩、CTBの橋場皓生(こうせい)が入学した。橋場は今年1月5日、冬の花園で行われたU18合同チーム東西対抗戦に東軍のインサイドCTBとして80分間出場し、花園第1グラウンドのピッチを踏んだ。後輩の目の前で早大での1年間の成長を見せたい。

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