アーディ・サヴェアが止まらなかった。奮闘の裏にある哲学とは。
これぞ個の力だ。
4月5日、東京・秩父宮ラグビー場でコベルコ神戸スティーラーズが度重なるピンチをしのいだ裏には、背番号7のファインプレーがあった。
ニュージーランド代表106キャップ(代表戦出場数)を誇るアーディ・サヴェアは、この日、ゲーム主将として先発フル出場。前半5分、自陣ゴール前で対するリコーブラックラムズ東京の波状攻撃を受ける。14フェーズ目だ。走者の持つ球に絡んだ。ターンオーバーを決めた。
続く13分にもトライラインを背にスティールを敢行。すると、対するブラックラムズの山本嶺二郎がサポートに飛びつく。サヴェアの首に肩をかけてしまったとして、ペナルティーを食らった。山本は相手がサヴェアであったかどうかは意識していなかったとし、こう悔やむ。
「あの時はセット(位置取り)が遅れ、(味方が)孤立したところへ(スティールに)入られた」
我慢強さに爆発力を重ね合わせたスティーラーズは、前半を35-19とリードして折り返した。ハーフタイム以降も、陣地獲得を修正して反攻のブラックラムズへ牙をむいた。
渦中の6分だ。サヴェアが自陣ゴール前左で走者を掴み、足腰と上腕の力で前進をせき止めた。倒したそのランナーの真上を乗り越え、球を確保した。
以後も接点で圧をかけ続けた。
「目の前の状況に対して、どれだけシステム内の自分の仕事ができるかにフォーカスしています」
オールアウトした。ラスト5分で自身2本目となるトライを奪った際は、その場に倒れ、顔をゆがませた。9歳年下にあたる23歳の同僚、植田和磨につった足の筋を伸ばしてもらった。
40-15でノーサイドを迎え、会見で微笑む。
「リーダーとして、重圧にどれだけ対応できるかを重視しています。…和磨がストレッチしてくれたので、最後までプレーできました」
身長184センチ、体重105キロと恵まれたサイズで、攻守に躍動する。スティーラーズには今季2シーズンぶり2度目の加入で、プレーするのは今年限りだ。プレーオフ行きを決めているチームにあって、目が離せないタレントのひとりだ。



