コラム 2026.04.06

【ラグリパWest】循環の妙味。第4回関西大学ラグビーカーニバル

[ 鎮 勝也 ]
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【ラグリパWest】循環の妙味。第4回関西大学ラグビーカーニバル
関西大学のラグビー部は4回目となる「関西大学ラグビーカーニバル」を3月29日に実施した。写真は開会式より。中央に映るのは大阪・吹田市のゆるキャラ「すいたん」。この市内にラグビー部が日々練習する人工芝グラウンドを含む吹田みらいキャンパスはある。ラグビー部が取り組む地域貢献は循環して自主性などの形で自分たちにも返ってくる。

 人工芝グラウンドの開放は関西大学のラグビー部ができる地域貢献のひとつだ。

 同時にそれは部所属の大学生にとって、社会に出る前に経験値を上げることにもつながる。企画や運営の主体になるからだ。

 監督の佐藤貴志は話す。
「いい循環ですね。こちらは環境を用意できます。部員たちにとっては学びの場です」
 環境はいい。人工芝グラウンドを含めた吹田みらいキャンパスが開かれたのは1年前。所在地は大阪の吹田市である。

 略称「関大」のラグビー部が主催する<関西大学ラグビーカーニバル>は3月29日にあった。薄いピンクの桜と深い緑の人工芝グラウンドの対比が美しい時期である。

 開催は4回目。始まったのは佐藤が監督についた2023年だった。
「今は年間の強化プランに入っています」
 赴任前には母校の同志社大などで計5年、コーチをつとめた。44歳は大学生を知る。

 カーニバルに参加したのは吹田など6つのラグビースクールの小4生までと未就学の児童だ。その保護者や指導員を含め、来場者は1000人を超えた。過去最多である。

 カーニバルは選手たちが教えるラグビー体験会からラグビースクールの試合に移る。午前10時から3時間ほどで無事に終了した。すべて新2年生から新4年生の部員約90人の企画に基づき、実行された。

 グラウンド横には大学チームのスポンサーによるステーキなどを売るブースが出る。Tシャツの無料配布もあった。吹田市のゆるキャラ<すいたん>もやって来た。

 その企画と運営の軸は大澤陽(はる)と堀内貫太である。ともに新4年生だ。大澤は六甲アイランド出身のFL、堀内は光泉カトリック出身のSOである。

 大澤は改善点をあぶりだした。
「Tシャツの無料配布は思っていたより15分ほど長くかかってしまいました」
 堀内は将来を思う。
「子供たちが大学生になる時にカーニバルを思い出し、入部してくれたらいいですね」
 普段とは違う1日は、部員たちの反省や展望など、その成長につながっている。

 カーニバルの相談役としては大人が控える。ラグビー部OBで同期の稲山諒と末迫太一だ。ともに大学職員の33歳。稲山はチームディレクター、末迫は就職などの相談に乗るキャリア・アドバイザーだ。抜かりはない。

 カーニバルと並んでラグビーアカデミーもある。通年ものとして昨年から始まった。募集は小4生から中3生まで。指導の中心は大学コーチでもある園田晃将(てるまさ)だ。園田は42歳。関大に来て14年目に入った。優しく、丁寧な技術指導には定評がある。

 今年の開校は4月6日だ。基本的に週1回のペースで、月曜の午後5時30分から1時間30分ほど行われる。使用されるのはカーニバルと同じ人工芝グラウンド。アカデミーはラグビースクールなどとの二重登録も可能である。月会費は5000円。別に入会時には入会金など10000円が必要だ。

 カーニバルやアカデミーは、ラグビー部における次代の選手育成のためのミッションになってきた。その創部は1923年(大正12)。100年を超える活動歴は、大学選手権における「オリジナル4」にも表れている。

 第1回の大学選手権は1964年(昭和39)。参加は関大、早大、法大、同志社大の4校だった。関大は法大に初戦で3-19と敗れる。2校は法律学校を前身としており、今も定期戦を続けている。関西リーグの優勝はその1年前の1回。同志社大と両校優勝だった。

 その後、1970年前後の学園紛争によるスポーツ推薦の廃止などで長らく低迷してきた。その推薦制が1992年、「スポーツ・フロンティア」(SF)の形で復活する。今では自己推薦など様々な入試方法ができている。

 2012年秋の入替戦では、32-17で摂南大を破り、翌年から8チーム編成の関西大学Aリーグ(一部)に復帰する。32年ぶりだった。その後、2年ほどBリーグの時期もあったが、ここ6年はAリーグで戦い続けている。

 昨年のリーグ戦は5位だった。3勝4敗で勝ち点は13。この5位は佐藤にとって監督に就任後の最高成績だ。2013年の昇格後からの最高は2015年の4位である。監督だった桑原久佳は現在、副顧問(副部長)に変わった。大学職員としては局長級に昇っている。

 佐藤は今年の目標を挙げる。
「選手権に行くことです」
 今年度、63回目になる大学選手権において、関大の出場は5回。前回は関西4位に入った2015年度の52回大会。予選プールで敗退した。法大には29-24と勝利も、帝京大には22-87、中央大には12-24だった。

 大学選手権に出場するには関西リーグでの3位以内が絶対だ。そこへの突破口になるのはFW第3列である。主将FLの岡田薫瑠はU23日本代表として、オーストラリア遠征に参加中。副将NO8の中川一星は足のケガがなければ、このチームに名を連ねた可能性がある。ともに新4年生で東福岡の出身だ。

 新入生の注目はLOの礒崎昇太郎。大分舞鶴出身で、188センチ、127キロの恵まれた体を持つ。関大ではPRに挑戦するプランもある。1年生の人数は一般入試合格者による仮入部を含め、30人半ばになる予定だ。

 対外試合はすでに終えている。カーニバルの前日にはこのグラウンドで中京大にA、Bチーム(一、二軍)が戦い、ともに69-0、59-0と勝利をおさめた。

 チーム練習はリーグ戦が終わったあと、昨年12月の2週目から始めている。このカーニバルで部員たちは自分たちで考え、行動することに磨きをかけた。それはまた、笛が鳴らない限り、試合が途切れないラグビーにおいて、必要不可欠なことでもある。

 地域貢献は佐藤の言う循環の妙味でもある。

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