優勝かけた大一番へ。フランスが最終節イングランド戦のメンバーを発表。
シックスネーションズ最終節、ホームのスタッド・ド・フランスでのイングランド戦に向けてのフランス代表のメンバーが発表された。
フロントローは、先発・リザーブともに前節から変更はないが、第2列と第3列で入れ替えがあった。スコットランド戦ではベンチスタートだったチボー・フラマンとエマニュエル・メアフーの両LOが今節は先発に名を連ねる。また、ベンチにはユーゴ・オラドゥ、ミカエル・ギヤール(LO/NO8)、ジョシュア・ブレナン(LO/FL)が控え、バックアップを固める。
第3列では、今大会ここまで全4試合でNO8として先発していたアントニー・ジュロンが、メンバー発表前日の練習後にハムストリングの違和感を訴え急遽欠場。代わってシャルル・オリヴォンが今節の背番号8を背負うことになった。オリヴォンのNO8起用について、ファビアン・ガルチエHCは次のように説明した。
「彼は代表では主に7番を務めてきたが、4番や8番での出場経験もある。スピードがあり非常に器用なだけでなく、ラインアウトにおいても重要な役割を担う選手。今回、我々は彼の持つ豊富な経験と『多才さ』を優先した。7番、8番、そして4番と複数の役割を同時にこなせる能力こそが、まさに現代の8番というポジションに求められる資質そのものなのだ」
また、FLオスカー・ジェグーは、前節スコットランド戦のモール内において、相手HOイワン・アシュマンの「目周辺エリアへ接触」した行為が確認され、規律委員会で4週間の出場停止処分が下った。この欠員に伴い、ボルドー所属のテモ・マチウ(24歳)が、イングランドという大舞台で記念すべき初キャップを飾る機会をつかみ取った。
マチウの父、レジ・マチウは、2000年のシックスネーションズのウェールズ戦とイングランド戦の2試合でフランス代表LOとしてプレーした、当時のフランス代表にとって「初のニュージーランド出身選手」だった。
父がビアリッツでプレーしていた時に生まれたテモだが(2001年)、姉の影響でバスケットボールに打ち込んだ。10代の頃にモン・ド・マルサンの地域育成センターに選抜され、19歳まで高いレベルでプレーを続けていた。
しかし、2020年のコロナ禍で屋内スポーツが活動停止になる中、ラグビーをしている友人は練習を許可されていたことから仲間に加わり、その才能を瞬く間に開花させ、21歳でビアリッツ(プロD2)の育成センターに入団、そのシーズンの11月にプロデビューを果たした。
2024年にボルドーに移籍すると開幕から連戦、11月には早くも代表合宿に招集された。しかし、そのシーズンのボルドーのチャンピオンズカップでもトップ14でも決勝トーナメントのメンバーに入れなかった。
ボルドーのヤニック・ブリュHCは、「プレーにソフトな面があった。彼に欠けていた激しさとフィジカルのタフさを加えさせるために、私たちは彼を厳しく指導した」と述べている。コーチ陣によってフィジカル、メンタル、そしてタックルスキルが強化され、昨年11月末からはボルドーで背番号8を着け続けている。7人制代表の2028年ロス五輪に向けた強化リストにも選出されている。
ガルチエHCはマチウについて、「彼はスピード、パワー、そしてスキルの高さを兼ね備えており、フランソワ(クロス)やシャルル(オリヴォン)と補完し合える存在だ。2年前から継続して観察しており、彼自身も準備を重ねてきた。代表での練習での様子やクラブでのパフォーマンスを考慮した結果、彼にチャンスを与えることは非常に意義があると考えた」と述べた。
BKではCTBに変更があった。ニコラ・ドゥポルテールが前節のスコットランド戦で肩を脱臼したため、代わってリザーブだったピエール=ルイ・バラシがヨラム・モエファナとコンビを組む。この2人は、昨年のシックスネーションズ第4節アイルランド戦でバラシが脳震盪を負うまでコンビを組んでいた顔合わせとなる。また、ベンチにはCTBとWTBの両ポジションをカバーできるエミリアン・ガイユトンが控える。
スコットランド戦での敗戦(40-50)を受け、今週の準備をどのように進めたかという記者からの質問に対し、ガルチエHCは、
「すぐにイングランド戦へと切り替え、スコットランド戦を引きずることはしなかった。自分たちが今すべきことに目を向けている。我々は最終節で優勝を争う権利を有しており、総括は後で行えばよい。今は次の対戦相手のことだけに集中している。過去は過去だ。今年の大会は、どのチームも良い時期、苦しい時期を経験している。繰り返すが、我々は優勝をかけて戦う権利をつかみ取った。関心があるのはその一点だけだ」と断言した。
スコットランド戦のパフォーマンスを「事故」であったと証明すべく、選手たちが自身へのリベンジに燃えていると感じるかという質問に対しては、
「我々は大会の優勝を懸けて戦っており、それが最大の原動力だ。我々を突き動かしているのは、あくまで大会での勝利を目指しているという一点に尽きる」と、感情面よりも「優勝」という結果を目標に据える姿勢を強調した。
前節、精彩を欠き、苛立ちを見せる場面もあった主将アントワンヌ・デュポンに対し、今節何を期待するかと問われると、
「我々は人間であり、非常に良い時もあれば、うまくいかない時もある。アントワンヌは並外れた選手だが、彼も一人の人間であり、調子が上がらない時期があるのは自然なことだ。深刻な問題とは捉えていない。それもすべては我々の経験であり、積み重ねてきた歴史の一部だ。土曜日の試合に向かうためのプロセスに過ぎない」と、主将を擁護し、全幅の信頼を寄せる姿勢を示した。
今大会で苦戦が続くイングランドの状況について、ガルチエHCは次のように分析した。
「彼らは12連勝という実績を提げて今大会に臨んだ。非常に高いパフォーマンスを維持しており、正当かつ大きな野心を持って大会に入っている。ここしばらくの間、彼らは素晴らしい仕事をしてきた。そして彼らもまた我々と同様に、ウェールズとの開幕戦のような好調な時期もあれば、困難な時期も経験している。
現在の彼らは、我々と似た状況にあると考えている。対戦相手の状況を正確に把握するのは極めて難しく複雑だ。試合環境も特殊であるため、試合前には最高の結果にも最悪の結果にも備えておく必要がある。イングランド代表は今、いわば『困難な時期』にあり、結果が期待に見合っていない。しかし、それでも常に手強く、恐るべき存在であることに変わりはない。個々の選手は非常に優れており、スタッフも質の高い仕事をしている。現在の彼らの結果は、主にこの大会自体の難易度の高さに起因していると言えるだろう」
イングランドのプレーの特徴については、
「彼らには際立った強みがあり、戦略も極めて明快だ。一つは強力なセットピースである。非常に精度の高いセットアップを構築しており、そこに重点を置いている。特に、本来LOの選手であるオリー・チェサムをバックローに配置することで、ラインアウトのジャンパーの選択肢を3人に増やしている点が挙げられる。
もう一つは、ピッチのあらゆるエリアでプレッシャーをかけ続ける点だ。特にピッチの両サイドのスペースに対し、ハイパントやプレッシャーをかけるキックを多用してくる。チーム全体が連動して前方へ飛び出し、意図的にカオスを作り出した上で、非常に速い実行スピードをもってその状況を利用しようとしてくるのが彼らの特徴だ」と警戒を怠らない。
今大会におけるフランスのスクラムでのペナルティ数は7つ、獲得したペナルティは4つに留まっている。対するイングランドは、チームとしては苦戦しているものの、スクラムに関しては今大会の6カ国中で最強のスタッツを誇る。マイボールスクラムで7つのペナルティを奪い、献上したのはわずか1つのみ。相手ボールのスクラムでも同様の成績を収めており、スクラム単体で計14ものペナルティを誘発している。
また、フランスにとっては、スコットランド戦で劣勢となったハイボール争奪戦の立て直しも、今節の極めて重要な課題となるだろう。
「クランチ」と呼ばれる両国の対戦は、今年で120周年を迎える。この節目を記念し、フランス代表は今節「クランチ120周年ヘリテージジャージー」を着用して試合に臨む。デザインは1906年の初対戦時に使用された初代ジャージが再現されており、通常のブルーではなく淡いブルーが採用された。なお、120年前のパリでの初対戦は、35-8でイングランドが勝利している。
一方、エンブレムには、1927年にフランスがイングランドから歴史的な初勝利(3-0)を挙げた際に使用されていたロゴのデザインを採用した。
この記念モデルは2月28日の発表直後に完売し、現在は増産待ちとなるほどの反響を呼んでいる。
フランス代表 イングランド戦メンバー



