【南アフリカ記者コラム】エツベスの代役は?有力候補を紹介。
スプリングボクスのLO、エベン・エツベスは、11月におこなわれたウエールズとのテストマッチでのアイゴウジング(目への不正行為)により12週間の出場停止処分を受けた。
いまは長い休養期間を楽しんでいる最中で、南半球の夏の日差しを存分に浴びながら過ごしていることだろう。
同国史上最多の141キャップを誇るエツベスは、代表シーズンが始まる7月4日のイングランド戦では出場が可能となる。
しかし、どの程度のコンディションにあるのかは依然として不透明だ。
特に今季後半には、オールブラックスとの「グレイテスト・ライバルリー」シリーズ(4連戦)が控えていることから、エツベスは段階的にチームへ復帰する可能性が高い。
伝統的に背番号4は南アフリカラグビーの象徴であり、妥協なきフィジカルを担う存在だ。
しかし、このエツベスの影響もあり、ラシー・エラスマスHC率いる今季のボクスは珍しく人材不足に直面しているのだ。
代役として最有力だったストーマーズで主将のサルマーン・モエラットも、長期の膝の負傷で戦列を離れている。
現在の有力候補はレンスターのRG・スナイマンだ。
バイキングの異名を持つ31歳は、ラグビー界でも極めてユニークなアスリートの一人である。
CTBのようなオフロードスキルと圧倒的なパワーを兼ねるその能力は、現代ラグビーを代表する存在と言えるだろう。
エツベス不在の間、彼のフィジカルだけでなく、ベテランとしてのリーダーシップも期待することになる。
しかし、南アフリカにはほぼすべてのポジションに層の厚さがあるのも事実だ。
今季のURC(ユナイテッド・ラグビー・チャンピオンシップ)では、多くの若手選手がエツベスの不在を埋める存在として名乗りを上げている。
有力候補を数人ピックアップしたので紹介したい。
■ アドレ・スミス(ストーマーズ)
昨季はトヨタヴェルブリッツに在籍した28歳。テストマッチに求められる激しさがウリだ。ストーマーズではモエラット不在時にチームのエンジンとなり、大きな役割を果たした。規律面も大きく改善され、タフな試合でも信頼できる選択肢となっている。
■ コルネ・ラール(シャークス)
将来有望な23歳。シャークスでは驚異的な仕事量と、フィジカルの成熟ぶりを見せている。ラインアウトの中央で相手をドミネートできるアスリート能力を誇り、スクラムでも十分なパワーを提供。初キャップ獲得は時間の問題と見られている。
■ ルアン・フェルマーク(ブルズ)
かつてレッドハリケーンズに在籍した安定感抜群の存在。背番号5にも対応可能な汎用性を持つが、背番号4でのプレーが最も持ち味を発揮する。豊富な運動量とディフェンスでの貢献が光り、あらゆるラックに絡み、しぶとくタックルに入る。より華やかなパートナーと組むことで、理想的なバランスを生む選手だ。
■ ルーベン・スクーマン(ライオンズ)
典型的な“オールドスクール”のタイトヘッドLO。モールで圧倒的な存在感を放ち、スクラムではタイトヘッドPRの後方で大きな重量感を提供する。セットプレーの支配を重視するボクスにとって、今季URCでの安定したパフォーマンスは大きな価値となっている。
一方で、スプリングボクスは今季、すでに過酷な日程にさらに1試合を追加し、9月下旬にはパースでワラビーズと対戦することになった。
これに加え、6月末にはケベルハ(旧ポートエリザベス)でバーバリアンズとの試合も正式決定している。これにより、今季のテストマッチは合計13試合となった。
これらの試合は、ボクス首脳陣にとって選手をローテーションし、層の厚さを試す機会となる。
またバーバリアンズ戦は昨年同様、日本を拠点とする南アフリカ選手たちに実戦機会を与える場にもなるだろう。7月4日のテストマッチ開幕戦で待ち受けるイングランド戦を見据えれば、これは極めて重要な一戦だ。
豪州でのワラビーズ戦は、注目の「グレイテスト・ライバルリー」シリーズ(対オールブラックス4連戦)のわずか2週間後におこなわれる。
このツアーは8月末に2試合、9月はじめに2試合を予定しており、宿敵との対戦において大幅なローテーションは考えにくい。
NZとの第4テストは米国メリーランド州ボルチモアでおこなわれるため、一度南アフリカへ戻ってから再びオーストラリアへ向かう過酷な日程となる。
2026年は選手にとって、非常に多くの移動と試合数を伴う。
9月末にはURCの新シーズンが開幕し、11月には再び北半球でネーションズカップも開催される。
多くの選手がどこかで休養を必要とすることになるだろう。




