【サクラセブンズ PICK UP PLAYERS】厳しい環境に成長あり。矢崎桜子[横河武蔵野アルテミ・スターズ]
サクラセブンズは今季もキャプテンを大会ごとの当番制としている。
約1年半ぶりの代表復帰となった矢崎桜子は、ワールドセブンズシリーズ2026のドバイ大会のキャプテ
ンに指名された。
「キャプテン経験が一度もなかった上に、シリーズ最初の大事な大会だったので本当に緊張しました」
口下手な矢崎に対し、兼松由香HCは「プレーで引っ張ってほしい」。その注文通り、随所に強みを出した。
持ち前の初速の速さで相手の裏に抜け出し、捕まればオフロードパスでトライを幾度もアシストした。
果たして、史上最高位の3位に。昨年の活躍を見ていただけに、喜びはひとしおだった。
大学からラグビーを始めた父の影響で、兄・幹太(桐蔭学園→中大)の通う鎌倉ラグビースクールに5歳で入団した。
以来どっぷりとラグビーに浸かる日々を送っている。
小学5年時からは、女子中学生以上が集まる横濱ラグビーアカデミーにも参加。ここで今でも親しまれる愛称「ラコ」が生まれた。
スクールの掛け持ちだけでは飽き足らず、中学からは当時関東で唯一、女子ラグビー部があった関東学院六浦中に進んだ。創部2年目で部員は「6人くらい」と少なかったが、選択は正しかった。
梅原洸監督の策定するメニューが刺激的だったのだ。
「練習が毎日、本当に楽しかったです。いろんなメニューをやって、走ることが好きになりました」
部員が少なかったことも奏功した。普段から高校生たちの練習に混ざり、男子の練習にも参加できた。
「体つきも全然違うので、必死に食らいつきました。あの時期があったから強くなれました」
中学1年時にリオ五輪を見て、日本代表を目指すと決めた。高校で早くも近づく。
3年時には太陽生命ウィメンズセブンズシリーズの第2戦に、高校生が選抜される「チャレンジチーム」として出場。活躍が認められ、続く第3戦のメンバーにも名を連ねる「飛躍」を遂げた。チーム名は同じ
でも、この時の編成は東京五輪を直前に控えたサクラセブンズのメンバーがほとんどだった。
東京五輪後の2022年に代表デビュー。以降も断続的に呼ばれた。
大学でもより高いレベルに身を置くと決めた。男子部員と一緒に練習できる青学大に進学。横河武蔵野アルテミ・スターズにも所属し、掛け持ちの日々を送っている。
「自分よりも高いレベルの選手とプレーするのが、レベルアップの一番の近道だと感じていました。アルテミの練習は週に3回あるので、残りの週3回は部活に参加しています。苦に思ったことはないですね」
見据える先は、一度は目の前でこぼれ落ちた五輪出場。2024年夏のパリ五輪直前、6月のマドリード大会で足首の靭帯を負傷していた。
「あの悔しさは五輪に出るまでは晴れないと思います。ロス五輪には絶対に出て、メダルを獲りたいです」
報われるその日まで、タフな環境で研鑽を積む。
(文/明石尚之)
※ラグビーマガジン3月号(1月23日発売)の「セブンズ女子日本代表特集」を再編集し掲載。掲載情報は1月15日時点。



