焼肉の話題では笑顔。ダイナボアーズのルカニョ・アム、勝つための判断と条件を語る。
国際舞台で防波堤を築いてきた。日本でもそうする。
ラグビーワールドカップで2連覇中の南アフリカ代表で42キャップを持つルカニョ・アムは昨年、三菱重工相模原ダイナボアーズへ加入。12月からのジャパンラグビーリーグワンに参戦する。
「経験、能力を還元できるよう、できるだけのことをしたいです」
身長186センチ、体重97キロの32歳は、アウトサイドCTBとして守備範囲の広さを持ち味とする。
防御網に入れば攻め込まれそうなスペースを先回りして埋めたり、一気に相手との間合いを詰めてタックルを試みたり。先方の出方に沿い、適宜、ジャッジを下す。
「判断上の大事なポイントは、私のひとつ外側にいるWTBとのコミュニケーションです。彼らに『ラインに人数が揃っている』と伝えてもらえれば、こちらも勇気をもってラインスピードを上げられる。また、相手と自分たちの状況を踏まえてのフィーリングも加味します。もしもあちらに相手に勢いがあれば、その場で列を揃えて待ち構えたほうがいい」
第5節までにチームは1勝4敗とやや苦しむ。この人に求められることのひとつは、世界一を味わったという経験値か。
「『これさえやれば勝てる』はありませんが、『勝つにはこれをしてはならない』はあります。強い相手に何度もチャンスをあげると苦しくなる。だから(向こうにペナルティーキックを与えないため)規律は大事。反復練習で自軍のシステム通りに戦えるようになれば、重圧を受けずにいられる(クリーンに戦える)。そして、局面を支配できる」
ちなみにトップになって得たものを聞かれれば、「そのことはあまり考えず、次の場所でパフォーマンスを発揮することに集中する」。過去を相対化している。
「ラグビー選手が目指すのは一貫性のあるパフォーマンスです。その実現にはまず、先週プレーした試合を自ら分析し、『この場面で何をすべきだったか』と振り返ることです。そしてその内容を翌週の練習で修正できるチャンスがあれば、そのようにする。課題に思っているスキルがあれば、それも磨こうとすることです」
アムの目下の「課題」は。年末にはこう述べた。
「すべてが大事なのでこれというひとつのものはないです。全ての質を上げたい」
最近は距離を置くこととなっている国際舞台への思いについては、「そのステージに手を挙げるには、まず所属するダイナボアーズで貢献することが一番」。日々のパフォーマンスを代表復帰に繋げたい。
単年契約を結んでいる。家族の都合やクラブ側のニーズを鑑み長期のプレーも検討するという。本人はこの国の暮らしに好感触があり、「南アフリカ人は肉が好きなので、焼肉を食べます」と笑う。
好きな部位を聞かれ、表情を崩す。
「色々とバラエティ豊富に摂りたいタイプです。…ただ、食べるとすぐに体重が増えるものもあると思うので、そこには気を付けています!」
現在のダイナボアーズには、学生時代をニュージーランドで過ごしたSOの三宅駿も入ったばかり。バイリンガルの三宅は某日、アムと、今年になって加わったニュージーランド代表18キャップのブラッド・ウェバーとともに定額で食べ放題の焼肉屋へ出向いた。
「普通のところに行ったら払えない量になってしまう」
宴の様子が目に浮かぶような。




