明大7季前の日本一を経験。サンゴリアスの福田健太&箸本龍雅のいま。
明大ラグビー部が底力を発揮する裏に何が起きているのか。OBの福田健太は、母校の部是を引き合いに出して言った。
「『前へ』の精神の化学反応です!」
1月11日、母校は自身が主将だった2018年度以来14度目の大学日本一を達成していた。
今季のチームは苦難を乗り越えていた。
加盟する秋の関東大学対抗戦Aでは筑波大との初戦で敗れ、その後も前年度の順位で下回るチームを相手に課題の残る試合内容に終始。もっとも11月2日の慶大戦で24-22と辛勝するや、結束し、帝京大、早大を順に倒して対抗戦優勝を飾った。
早大との再戦となった大学選手権決勝は、22-10で制した。
振り返れば福田の頃も、対抗戦では慶大、早大に敗れて4位とやや足踏みしていた。
もっとも選手権突入を前に、急速にまとまる。当時の監督で、現東京サントリーサンゴラスのゼネラルマネージャーである田中澄憲氏に4年生だけで飲みに行くようにと提案されたのがきっかけだ。
田中がヘッドコーチとなった’17年度から勤勉さを貴ぶ文化を作り上げていたのもあり、最後は当時22年ぶりとなる選手権優勝に喜ぶことができた。
福田は全国の俊英が集まる部の特徴を踏まえ、「化学変化」の詳細を掘り下げる。
「それだけ優勝したいと本気で思っている人が多い。チームがうまくいっていなければ『このままでは優勝できない』と(危機感を持ち)私生活やゲーム中の意識を変えていき、シーズン中に成長するんだと思います」
そのシーズンに2年生レギュラーだったのは箸本龍雅。4年時は新型コロナウイルスが広まっていた’20年に主将となり、苦難の道を歩んできた。
厳しい外出制限下で部内にくすぶる不満と対峙するさなか、慶大との対抗戦で敗れた。寮内のトレーナールームで用具が雑に置かれていたり、コンセントに充電器が差し込まれたままだったりしたのをスタッフに指摘されたのはこのタイミングだった。
以後は練習後の片づけを4年生だけでおこなうようにし、対抗戦2連覇、選手権4強でシーズンを終えた。
自身の経験を踏まえ、ひとつのきっかけで一気に覚醒する明大の凄みをこう解説する。
「4年生の団結力、選手同士の絆みたいなものが、大きいと思います」
2人はいま、サンゴリアスにいる。
1月10日には参戦しているリーグワン1部の第4節(東京・味の素スタジアム)で、コベルコ神戸スティーラーズに20-22で惜敗した。反則禍に泣いた。
17日の第5節(山梨・JIT リサイクルインク スタジアム )において、福田は2戦連続でSHのリザーブとなる。こう展望する。
「アグレッシブに行くなかでも冷静さを保ち、規律を保つことが大事。練習中から全員でどれだけ試合を想定できるか(が鍵)。トレーニングで規律の乱れがあったら流さず、厳しく言い合ってやっていくしかないです」
箸本は、厳しい現実と直面しながらもよい仕事をしたいと語る。
スティーラーズ戦でFLとして先発して鋭いタックルを重ねて「大まかには合格点を出せる」と頷きながら、攻撃中のポジショニング、推進力などで課題を指摘された。
三重ホンダヒートとの次戦ではリザーブに回った。
「結果に響くほどではないが、伸ばせるところもある…と」
明大と同じく綺羅星の集まるクラブにあって、箸本はタフなコンペティションに挑んでいる。
元オーストラリア代表のショーン・マクマーン、ニュージーランド代表で先頭役だったサム・ケイン主将、同級生で現役日本代表の下川甲嗣、トンガ出身でフランス帰りのテビタ・タタフらとFWの第3列の定位置を争う。
「満足いく状態になれないことが、僕には合っている。試合でいいパフォーマンスを出せないと次に出番がないというプレッシャーを自分にかけながら、できる準備をやろうとしています。メンタルの浮き沈みもコントロールして、グラウンドでは出さないように、自分の役割を明確化しています」
近年、出場機会を求めて移籍を選択する先輩方も増えてはいる。それでも箸本は、現在の熾烈な競り合いに身を置きたいという。
「シンプルに、このチームの仲間とラグビーがしたい。また、離れる決断をするのは(オファー次第では)簡単かもしれませんが、もっとこの競争に揉まれて、日本代表を目指したいという思いもあります。目標となる選手が近くにいるのもパフォーマンスを上げるのに大事なので、いまは、それを選んでいます」
やるべきことをやり切ればよいことが起こるのは学生時代に経験済みだ。取材に応じた15日は、全体のセッションの後に突進、防御の個人練習に時間を割いていた。



