【サクラセブンズ PICK UP PLAYERS】なでしこからサクラ。永田花菜[ナナイロプリズム福岡]
久しぶりに世界の舞台に帰ってきた。
サクラセブンズの永田花菜だ。
高校2年時の2018年に代表デビューを飾って以来、長く桜のエンブレムを背負っている。東京五輪、ワールドカップセブンズも経験した。
しかし、パリ五輪は前年に負った左膝の前十字靭帯断裂により出場は叶わなかった。2年ぶりの代表復帰が昨年だったのだ。
「初めてすべてのワードシリーズを回れました。すごく楽しかったです」
「ボールを持てないと物足りなさを感じてしまう」ほどの生粋のゲームメイカーだ。
キックオフに優れ、168㌢の体躯を生かしたオフロードパスで味方のゲインを引き出す。昨季は、本職のSOだけでなくSHにも本格挑戦した。
「それまでは感覚でプレーするタイプでしたが、攻守の起点になるハーフはそうもいかなくて。試合の流れを見ながら判断しないといけない。相手がこう動いてくるからこうしようと、考えるようになりました」
華やかな経歴を持つラグビーエリートはしかし、はじめはサッカー少女だった。先に5歳から始めたのはラグビーだったが、小学4年時からサッカーと両立した。
体験教室に参加し、「周りの子が私よりも上手いのが許せなかった」という。
「小学校も中学校も男子と一緒のクラブチームに入りました。いまよりもずっと負けず嫌いでした」
平日はサッカーに励み、土日はどちらの球も追った。小学5年時になでしこジャパンがW杯を制し、「自分もなでしこになりたい、澤穂希選手みたいになりたいと思いました」。
主にディフェンダーをやった。そこでもコンタクト局面では引かなかった。正確なドロップキックを放てるのも、サッカーのおかげだ。
「サッカーはどこからでも攻めたり、守ったりします。視野の広さも、ラグビーに生きたと思います」
なでしこからサクラに目標をスイッチしたのは、地元の福岡高校に進学してからだ。
ラグビー部に入部すると、想定外のことが起きた。
「はじめは並行してサッカーもするつもりでした。部活が毎日あることを知らなかったんです。それ
でラグビーに1本にしようと決めました」
ほとんどのメニューを男子とともにこなし、練習試合にも一緒に出場した。そこでもSOだった。
「15人制は表と裏のプレーがあって、投げ分けるのが好きでした」
2年時に代表入り。同級生の平野優芽や1学年下に松田凜日らもいたから、「若いという感覚はなかった」。
あれから33キャップを重ねた。
「昨シーズンは新しい選手を生かさないといけない気持ちもあった」と明かし、今季の決意をこう語った。
「去年以上に一戦一戦が大事になる。もう一段階上げるためにも、自分からも仕掛けていきます。レベルの高い試合ではロースコアに持ち込むことが大切なので、ディフェンスでもチャレンジしたいです」
進化した姿で今季も最高位を更新する。
(文/明石尚之)
※ラグビーマガジン1月号(11月27日発売)の「セブンズ女子日本代表特集」を再編集し掲載。掲載情報は11月15日時点。



