【南アフリカ記者コラム】スプリングボクスにとって”最高の1年”を振り返る。
2025年は南アフリカ代表”スプリングボクス”のラグビー史において、史上最高の年のひとつとして記憶されるだろう。
バーバリアンズとのウォームアップマッチを含めると、ボクスは年間15試合を戦い、敗戦はわずか2試合。勝率は実に86%に達した。
ラッシー・エラスマスが率いるチームにとって、どれほど素晴らしい1年だったかを測る最良の方法は、彼らのパフォーマンスに対する国際的な反応を見ることだろう。
先月ダブリンでアイルランドをほぼ屈服させる形で粉砕した後、世界中の評論家のほぼ全員が「スプリングボクスと他国との間には、埋めようのない大きな差がある」と認めた。
ワールドチャンピオンに対する渋々の敬意は、純粋な称賛、あるいは露骨な羨望へと変わっていった。
かつての辛辣な批評家である元スコットランド代表HCのマット・ウィリアムズ氏や、オールブラックスのレジェンドであるジョン・カーワン氏までもが、ボクスを称賛するほどだった。
秋のヨーロッパ遠征5試合にわたる圧巻の快進撃の中で、南アフリカは破壊的なパワーに加えて、観る者を魅了するバックラインの展開力を身につけたことを示した。
この両立は、ボクスが本気になった時、世界中のどのチームにも対抗できない最強のレシピである。
ライバル国にとって不安材料なのは、ボクスが2025年を「さらなる進化」を約束する形で締めくくったことだ。
2027年ワールドカップまではまだ2年近くあり、彼らは”究極のラグビマシン”へと、さらに進化すると見られている。
今シーズン最初の公式テストマッチは、7月初旬のイタリア戦だった。
42-24で勝利したにもかかわらず、多くの人が物足りなさを感じたという事実こそ、このスプリングボクスに寄せられる期待の大きさを物語っていた。
老獪なイタリアにブレイクダウンで苦しめられ、司令塔のハンドレ・ポラードもゲームマネジメントで精彩を欠いた。
その後13試合で彼が出場したのはわずか5試合にとどまり、マニー・リボックとサシャ・ファインバーグ=ムンゴメズルに定位置を譲ることになる。
ケープタウンでの第2戦では45-0と快勝したものの、まだ錆を落としている段階という印象は拭えなかった。
その不安は、ヨハネスブルグでのオーストラリア戦で現実となる。
開始15分で22-0とリードし、崇高とも言える攻撃ラグビーを見せながら、後半に完全に崩れて22ー38で敗北したのだ。
あらゆるボールを動かそうとしたことの愚かさが露呈し、ターンオーバーやミスからのカウンターで自滅する形となった。
翌週のケープタウンではよりバランスの取れた戦い方に戻し、30-22でワラビーズを下した。
長く待ち望まれていた「イーデンパークの呪縛」に挑むオールブラックス戦への良い準備となった。
この試合ではポラードが10番に復帰したが、17-24と敗戦した後は再び批判の矢面に立たされた。
しかし実際には、試合開始15分で許したソフトなトライが、勝利を遠ざけた要因だった。それでも終盤の力強い追い上げは、翌週のウェリントンで起こる出来事の予兆だった。
そこで誰も予想しなかった光景が広がる。ニュージーランドは、落ち着き、パワー、正確さを兼ね備えたほぼ完璧なパフォーマンスによって粉砕された。
リボックとムンゴメズルが司令塔として試合を支配し、記録的な43-10の大敗の終盤には、オールブラックスの選手たちは打ちのめされたボクサーがタオルを求めるかのようにレフリーを見つめていた。
帰国後、ボクスはダーバンでアルゼンチンを67-30で粉砕。ムンゴメズルが3トライ、そして個人最多となる37得点を挙げた。
世界にその才能を知らしめた試合として記憶されるだろう。
続くロンドンでの29-27の勝利で、スプリングボクスは初めてザ・ラグビーチャンピオンシップの連覇を達成した。
スコアは接戦に見えるが、内容は明らかに支配的だった。
そして迎えた年末ツアー。
ボクスが目標としていた二つの頂は、フランスとの”真実を示す一戦”と、アイルランドとの”因縁の決着”だった。
2023年ワールドカップ準々決勝で「奪われた」と不満を言い続けていたフランスだが、スタッド・ド・フランスではLOルード・デヤハーの退場にもかかわらず、32-17の完璧な試合運びを見せたボクスによって沈黙させられた。
ダブリンでは、度重なるカードで自滅したアイルランドをボクスが力でねじ伏せた。
24-13というスコアは、ホームチームにとってあまりにも寛大だった。
ツアーは日本戦61-7の大勝で始まり、ウェールズ戦の73-0という歴史的完封勝利で締めくくられた。5戦全勝、まさに声明文のような遠征だった。
ダブリンでスプリングボクスとそのファンが味わったギネスは、これ以上ないほど美味しかったに違いない。
そして大晦日、最高のスプリングボクスの1年を祝うファンたちにとって、シャンパンほど爽快なものはなかっただろう。
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