グリーンロケッツ東葛の新たな出発へ。JRLO、JR東日本、NECが共同会見。経緯と譲渡のポイント示す。
一般社団法人ジャパンラグビーリーグワン(JRLO)の正会員である日本電気株式会社(NEC)が保有・運営するディビジョン2のNECグリーンロケッツ東葛が2025-26シーズン終了後に東日本旅客鉄道株式会社(JR東日本)に譲渡されることが発表された12月11日、JRLO、JR東日本、NECの3者による共同記者会見が開かれた。
NECの森田隆之社長兼CEOによると、創部40年の歴史と日本選手権3度の優勝を誇るグリーンロケッツを「社員の一体感醸成あるいは士気高揚を目的に、文化・体育活動の一環としてチームを保有してきた」。しかし、近年のラグビーを取り巻く環境やBtoB領域にシフトするNEC本体の事業ポートフォリオの変化を受け「NECが今後も長期的にチームのベストオーナーであり続けられるかを熟考した」という。その結果、2025年1月からチーム譲渡に向けた検討を進めることを決めた。
玉塚元一JRLO理事長は正会員の地位がNECからJR東日本に譲渡される経緯について説明。今年8月20日にNECは2025-26シーズン終了後のリーグワン退会を前提としたGR東葛の譲渡検討開始を発表したが、それ以前からチームの継続に関する相談を受けており「緊密に連携し、チームの歴史と伝統を受け継いでいただける譲渡先を模索してまいりました」。
JR東日本の喜勢陽一社長によれば「9月ごろにJRLOを通じて『チームの引き受けを検討いただけないか』というお話を伺った」。NEC森田社長とは本業での関わりも深いことから「ざっくばらんに、チームを離されることになった経緯をお伺いした」という。
10社弱の複数の企業がグリーンロケッツの引き継ぎに興味を示す中、JR東日本は喜勢陽一社長自らがNEC我孫子事業場にある練習グラウンドに足を運ぶなど高いレベルでの検討を進めた。11月中旬ごろ、JR東日本からJRLOを通じてNECに正式に引き継ぐ意向を伝達。事務手続きを経てチーム譲渡契約が合意に至ったという。
JR東日本グループは野球部(東京・東北)、秋田バスケットボール部などの企業スポーツチームを保有しており、グリーンロケッツは6つ目の「企業チーム」としてこの中に加わる。喜勢社長は「迎え入れる」ことを決めたポイントについて「拠点が私どもの事業エリアに向いていること」を挙げた。
グリーンロケッツはホストエリアの8市(我孫子、柏、松戸、野田、流山、鎌ヶ谷、白井、印西)と連携協定を結ぶなど、東葛エリアで官民の結び付きを強めてきた。この連携協定も含めて承継されるチームの存在を活かして「当社グループの事業活動と共に地域の直面する様々な課題の解決に取り組んでいきたい」と喜勢社長は話す。
なおJR東日本には社員が所属するラグビー部「JR東日本レールウェイズ」があり、今季トップイーストリーグCグループで優勝を成し遂げた。1925に誕生した鉄道省ラグビー部の歴史を継承するこのチームも「しっかりと我々は支えていきたい」(喜勢社長)とし、共存するという。
グリーンロケッツの選手・スタッフはNECグループで勤務する「社員」と「プロ」が混在する。喜勢社長は雇用形態について「皆さんのお気持ちを伺いながら考えていかなければならない」とし、「企業間の転籍を希望されるのであれば、当社の社員として雇用します」「嘱託契約(プロ)で活躍したいというご意向であれば、そのような形でお願いしたい」とこれまで通り併存させる考えを示した。
来季以降のチーム名は未定だが、偶然にもJR東日本のコーポレートカラーは“グリーン”だ。喜勢社長は「グリーンロケッツという名前が地域の皆様に深く入り込んでいるということも伺っています。そうした地域の皆様、あるいは選手・スタッフ、ファンの皆様のお気持ちを踏まえたうえで、チーム名称はNECさんとも相談しながら決めていきたい」と述べた。



