悲喜こもごも。関東大学リーグ戦2部以下入替戦リポート。
12月7日、2025年シーズンの関東大学リーグ戦の2部以下の入替戦が一斉に行われた。2部/3部入替戦はじめ、昇格、降格という悲喜こもごもの結果となった。
<2部/3部>
・朝鮮大(2部7位) 45(前半7-13)27 東京農業大(3部2位)
・新潟食料農業大(2部8位) 14(14-19) 47国士舘大(3部1位)*国士館大が昇格
朝鮮大が後半の逆転劇で東京農業大を制し2部残留を決めた。前半開始から、東農大の1年生SH渡邉匠(國學院栃木)が左足から蹴り出す効果的なハイパントで敵陣へ入る。渡邉は昨年度、冬の花園大会で9番を背負った。準決勝で優勝した桐蔭学園に14-25で敗れたが聖地でも魅せた。

朝大がこのボールを確保するも、すぐにチェイスした東農大が阻む。3分、朝大のオフサイドで東農大が22メートル内の右ラインアウトを得る。モールで押し込みHO白石優斗(2年、東農大二)が最初のファイブポインターになった。GはSH渡邉が決めて7-0。
その後も朝大ディフェンスが自陣で反則を繰り返す。10分にはノットリリースで、渡邉がPGを成功。さらに24分にもPGで3点を加え13-0とした。
朝大もSO金来温(キム・レオン。2年、大阪朝)、CTBでセブンズ日本代表の李智寿(リ・チス。3年、大阪朝)が、飛ばしパスや敵守備網裏へのキックパスなど「外へ展開する」(李)ゲームプランを繰り返す。しかし敵陣でボールを奪い返すことができない。
35分過ぎ、東農大エリアほぼ中央でPKを得るも、3点を狙わずに右ラインアウトを選択。しかしノットストレートでトライラインが遠い。42分、ラストプレーで敵陣でのマイボールスクラムを組む。しつこく攻めるとHO韓晃康(ハン・ファンガン。4年、大阪朝)がポスト左へようやく入った。GはSO金が成功し7-13でハーフタイムを迎える。
「ゲームの入りで東農大の勢いに飲まれた。自分たちのプランを続けていこう」(朝大主将FB文銘一<ムン・ミョンイル。4年、大阪朝>)
後半、朝大はホームで応援してくれる家族やOB、OGに朝大生がつめかけた方向へ攻める。5分、攻撃を継続するとCTB李がゴール前へパントを上げる。「銘一先輩の声があった」。文が捕球し中央へ仕留めた。14-13と逆転。流れが朝大へやってきた。

10分、右ラインアウトを押し込みラックからHO韓が2回目の5点をマーク。13分には右ラインアウトから素早く外へ回しCTB柳哲純(リュ・チョルスン。2年、大阪朝)、16分はリスタートのボールをFB文がゲインしLO鄭善祐(チョ・ソヌ。2年、大阪朝)へつなぎ蓮続トライ。15分余りで33-13、試合の行方が見えた。26分、朝大応援の目の前でラインアウトモールからHO韓がハットトリックを達成すると、歓声があがった。
残り10分間で東農大はPR宇佐美晧太郎主将(4年、東京)がトライソーンへ入るなど2トライを返すも、朝大45-27で終えた。東農大は今年が創部100周年と記念するシーズンだった。
堀切輝一ヘッドコーチは「前半は、キックを使ったプラン、セットプレーでも優位に立てた。後半は朝大の速さについていけなかった」。この試合、先発メンバーにSH渡邉とSO渡邉銀(東農大二)のハーフ団など1年生が4人と名を連ねた。来年も20人前後の新入生が入る。
今季、2部に昇格した新潟食料農業大は7戦全敗。総失点701で平均100点以上と、2部の厳しさを味わった。入替戦の相手は昨年のリベンジを期す国士舘大。前半は国士舘が19-14と僅差でリード。後半、国士舘が4トライを追加し47-14、1年で2部へ返り咲いた。

<3部/4部>
・千葉商科大(3部7位) 33-16 玉川大(4部2位)
・駒澤大 10(10-26)50 東京都立大(4部1位)*都立大が昇格
東京都立大も昨年、入替戦で敗れた駒澤大を下し3部復帰を決めた。試合開始6分、都立大が敵ゴール前からのフォワードの連続攻撃でトライ、G成功し7-0。10分は駒大がPGで3点を返した。
18分、都立大は繋いで右隅に14番萩原唯斗(3年。國學院久我山)が仕留めた。駒大もラインアウトからボールを回して5点を奪う。ゴール成功し10-12とシーソーゲームに。
26分、都立大WTB萩原が2回目のトライをマークすると、都立大がゲームを支配した。35分、敵ゴール前のペナルティーからスクラム選択。押し切ってトライ、Gも決めて26-10に。
後半 5分、ラインアウトからモール起点でトライ。13分は、敵陣25メートルあたりのラインアウトからモール押し込んで連続トライ。Gも決まり40-10へ。その後も2トライを奪い50-10。完勝でリベンジを果たした。
大学でラグビーを始めたスキッパーLO高橋一平主将はこう感謝のコメントを寄せた。
「今シーズン磨いてきたスクラムをはじめとするセットプレーを中心に、試合を自分たちの流れで進めることができ、昨年度の雪辱を果たし、3部へ昇格することができました。多くのご支援・ご声援をいただき、誠にありがとうございました。来年は再び3部の舞台で戦うこととなります。引き続きご支援、ご声援のほどよろしくお願い申し上げます」

<4部/5部>
・東京経済大(4部7位)29(12-21)28東京都市大(5部2位)
・順天堂大(4部8位)0(0-33)92東京学芸大(5部1位)*学芸大が昇格

4部に今季、地区対抗関東1区からリーグ戦5部に新規加入した東京都市大、東京学芸大の2校がリーグ戦で1、2位となり昇格へ挑んだ。東京都市大が前半21-12とリードしたが、後半に東京経済大が逆転、1点差で退けた。
東京学芸大は前半から順天堂大を圧倒した。5トライを積みかさね33-0で折り返すと、さらに9トライ59点を加え92-0。加盟1年目で昇格を勝ち取った。
学芸大は今季、全国地区対抗大会連覇のかわりに「春の東京都国公立大大会優勝、リーグ戦5部優勝、4部昇格」を目標に掲げた。すべて達成し栄冠をつかんだ。7人が卒業し来季は12人でスタートする。別に大学院入試や学校推薦入試合格で2人が加わる予定。入部希望者の受験も期待している。



