国内 2025.11.12

「未知」が生まれる交流へ。リコーブラックラムズ東京とスペインサッカー・ビジャレアルCFのパートナーシップと未来計画。

[ 編集部 ]
「未知」が生まれる交流へ。リコーブラックラムズ東京とスペインサッカー・ビジャレアルCFのパートナーシップと未来計画。
スペインからオンラインで参加したビジャレアルCFの佐伯夕利子氏、BR東京の西辻勤GM、白崎雄吾クラブ・ビジョナリー・オフィサー(撮影:編集部)

 スペインのサッカークラブ「ビジャレアルCF」と教育・育成を通じたサステナビリティ推進に関するパートナーシップを締結したリーグワンD1のリコーブラックラムズ東京が11月11日、会見を開きパートナーシップの概要を紹介した。

 ブラックラムズでパートナーシップ締結を推進した白崎雄吾クラブ・ビジョナリー・オフィサーは、2024年4月ごろにビジャレアルの街とクラブを訪問・視察したことがパートナーシップ締結のきっかけになったことを明かした。そのとき現地で感じた「スポーツの力」の可能性と伸びしろをブラックラムズでも形にし、地域の幼児向けのグラウンド解放・利用や、昨季の第13節・神戸S戦で開催した「誰もが楽しめるラグビー観戦環境」をコンセプトとする「ユニバーサルデー」などの活動として展開してきた。

 今回のパートナーシップはチーム強化という意味合いの「育成」の枠を超えた、人材や組織の成長、地域貢献を通してクラブの存在価値と持続性を高める「サステナビリティ」がキーワードとなる。

 西辻勤GMはビジャレアル視察で、クラブのアカデミー生12人に対しコーチが8人いる「選手たちに時間と愛情を注いだ」育成への感銘を伝えた。またクラブが運営する知的・精神障害者のチームで、皆がサッカーを楽しむニューロダイバーシティ(「脳や神経、それに由来する個人レベルでの様々な特性の違いを多様性と捉えて相互に尊重し、それらの違いを社会の中で活かしていこう」という考え方)が進んだ空間を体感したことで「『誰もが輝ける社会』『社会の中心にスポーツがある』世界観を作るヒントになりました」と結んだ。

 会見には、ビジャレアルCFのフットボールマネジメント部に所属する佐伯夕利子氏がスペインからオンラインで登壇。102年の歴史を有する自クラブは「これからも永続的に街に在り続ける」ことを目指しているとし、そのためにサッカーの強さ・競技力という「縦の糸」に、環境・社会・企業統治(ESG)という「横の糸」を紡ぎ、発展させることを志向する現在のクラブ経営の指針を紹介した。

 そうしたビジョンを持つビジャレアルCFが「ラグビーやフットボールという競技を超えて、人や社会を大切にする思いが根底にあるクラブづくり」に共感したことで、初めてサッカー以外の競技団体とのパートナーシップを締結するに至ったという。

 さらにスポーツの枠を超えたモビリティ(流動性)を推進することで「互いの世界観、組織文化、育成の考えを示して、今まで発想できなかった考えやアイデアが生まれることを期待しています」というねらいも語った。

 今後、両クラブのスタッフは四半期に1回のペースで、越境的かつ学際的でフラットなディスカッションを重ねるという。

 クラブづくりという大きなテーマの中で双方の知見やマインドをシェアする場になるようで、佐伯氏は「何が得られるのか、どんな気づきがあるのか、という『未知数』に期待をしています」と展望を述べた。

 2025-26シーズン終了後には世田谷区に位置するリコー総合グラウンドで、子どもを対象にした教育系ワークショップを計画しているという。

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