平生翔大、日本代表で掴む「成長」の実感。

いまのラグビー日本代表を象徴するひとりだ。
平生翔大。身長174センチ、体重103キロの22歳だ。
ポジションは先頭中央のHO。スクラムを束ねる位置にあって、コンタクトへの耐性やボディバランスのよさで世代有数と遇されてきた。
主将を務めた関西学院大から東京サントリーサンゴリアスに入ったばかりで、昨季途中参加の国内リーグワンでは1度しか公式戦に出ていない。それでも今年から日本代表へ入り、相次ぎおこなわれるキャンペーンへ参加。同い年の佐藤健次、1学年上の江良颯らと切磋琢磨する。
エディー・ジョーンズヘッドコーチは、昨年に約9年ぶりに復職してから「誰に戦うつもりがあるのか」を模索。前年度のスケジュールを終えると、日本中の若手プレーヤーのポテンシャルや心構えをリサーチしてきた。
条件に合ったひとりが平生だったのだろう。本人はこうだ。
「日本の最高峰で毎日練習することが、成長する機会になっています。寝て、起きる…。(準備段階から)ひとつのブレイクダウン(接点)に試合のような姿勢で行く…。そういう『当たり前』のレベルが上がりました」
10月からは予備軍的なJAPAN XVの肩書きで、同学年のHOである佐川奨茉もキャンプ地へ合流している。こちらは6月の候補合宿以来の顔合わせとなる。
HOのラインナップでは、主将経験のある原田衛、坂手淳史がコンディション面などの理由で選考外となっている。そのため大卒1、2年目の面々が並ぶ。平生は続ける。
「僕たちと、そのひとつ上の代で4人のHOがいます。ラグビーにおける重要なポジションのひとつであるHOを若い選手が担っているのは、チームとして大きく伸びるチャンスです。オフフィールドでは仲がいい4人ですが、フィールドではライバルとして刺激し合っています」
今年9月まではパシフィック・ネーションズカップのツアーへ帯同した。
決勝戦では、世界ランクで4つ上回る9位のフィジー代表に27-33と惜敗した。
その直前期は、故障者が相次いだためトレーニングに出られる選手が計26名というタフな状況だった。
実戦形式のセッションでは、15人のレギュラーへ、ノンメンバーとよばれる控え主体のグループが11人で挑んだ。
難局を乗り越えた思い出を、平生は振り返った。改めて、「成長」というフレーズを用いて。
「11人でも(主力組に)プレッシャーをかけられ、(ジョーンズに)いい練習だったと言っていただいた。自分自身は試合に出ることができなかったんですけど、毎日、毎日、成長できている実感はありました」
秋以降の活動では、オーストラリア代表など5つの強豪国と国内外で代表戦を実施。その前哨戦として、10月18日には大阪・ヨドコウ桜スタジアムでJAPAN XV対オーストラリアA代表に臨む。この日は平生もJAPAN XVへ回り、2番で先発する。
「セレクションの意味も込めた試合になると思うので、各自のパフォーマンスを上げてやっていきたいです」