日本代表 2025.10.08

モールは攻めも守りも。スクラム基本復習。日本代表FW合宿で練習公開。

[ 向 風見也 ]
モールは攻めも守りも。スクラム基本復習。日本代表FW合宿で練習公開。
大分・別府でのFWトレーニング(筆者撮影)

 10月7日はリーチ マイケルの誕生日だ。37歳になった。

 別府市内でのラグビー日本代表のFW合宿が2日目を迎え、夕方から夜までのセッションは公開練習となった。全てが終われば延べ400人のファンを市の職員が呼びかけ、ゴールポストをバックに選手と集合写真を撮った。

 集合の間、選手の誰かがメロディを口ずさんでいた。

「ハッピーバースデーリーチさんー」

 7月のツアーで主将だったリーチをはじめ、9月までのパシフィック・ネーションズカップ(PNC)を戦ったメンバーや新戦力4名ら計22名が日没後のフィールドに立った。

 BKで唯一大分入りしたSHの北村瞬太郎が黙々とパスセッションをこなす傍ら、宮崎にいるティエナン・コストリーを除くFWのほとんどがセットプレーの確認に励む。

 25日以降に対戦する5カ国には、モールの強いチームがある。ジャパンは自らの塊を強固にしながら、相手のプッシュへの対策法も確認する。

 向こうのパックに頭を突き刺すタイミング、人数、角度を共有し、実戦さながらの強度でシミュレーションする。

 片方が押しにかかり、もう片方がせき止めようとする。そのバトルにあっては、初選出のタイラー・ポールが渋く光った。

 南アフリカ出身の30歳が守る側の一員として身体を差し込んだ箇所は、攻める側にストッパーがかかったように映った。かねて本人は宣言していた。

「ハードワーク。それだけです」

 ラインアウトを教える伊藤鐘平アシスタントコーチが仕切ることの多い今回のキャンプに、この夜はニール・ハットリーコーチングコーディネーターも合流していた。

 複数のナショナルチームでエディー・ジョーンズヘッドコーチを支えた腹心は、スクラムの基本を復習した。

 訴えたのは「芝」。1勝1敗だった7月の対ウェールズ代表2連戦の前から導入したキーワードだ。膝を地面とすれすれの位置に保ち、列強国へ粘り腰で対抗するイメージを表す。

 まずは輪を作って決まった姿勢を取り、匍匐前進を重ねる。その後はペアになって組み、複数名同士で対になることもあった。

「絆を深めることをテーマにして、よりタイトに、ユニットとして、やっています」

 こう語るのはワーナー・ディアンズ。リーチがいなかった9月までのPNCでは、今回怪我で選外の原田衛とともに共同主将を務めた23歳だ。身長201センチ、体重117キロのLOは、キャンペーン中のリーダーシップも期待される。ここでも強調するのは「絆」という単語だ。

「スクラム、ラインアウトにはコネクションがないとできない。オフ・ザ・フィールドで、例えばご飯の時に一緒に試合や練習の映像を見て、話し合って、絆を深める。個人練習もして、絆を深める」

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