国内 2025.10.07

恩師への恩返し。関口颯[熊谷高校/LO]

[ 明石尚之 ]
恩師への恩返し。関口颯[熊谷高校/LO]
熊谷高校からのキャンプ参加メンバー選出はLO山口英乃介(東洋大2年)以来(撮影:BBM)

「新学期の身体測定では192だったのですが…。さっき測ったら190で。少し盛っちゃいました」とはにかむ。

 今夏に開催された「ビッグマン&ファストマンキャンプ」の参加メンバーで、最高身長の一人だ。

 関口颯。熊谷高校に通う2年生である。

 小学6年時ですでに165センチあり、中学でもコンスタントに伸び続けた。3年時には185センチまで到達、現在は192センチ、85キロだ。

「普段の周りには自分よりも背の高い選手はなかなかいないので、良い刺激になりました」

 キャンプでは基本の動作を叩き込まれ、得意のラインアウトを見直すきっかけになったという。
「できている方だと思っていましたが、ジャンプしたときにブレてしまっていたり、まだまだできていないことがありました。体幹を締めてまっすぐ飛ぶことを極めたいです」

 合宿に参加したことで、「戻ったときにチームを引っ張れる存在でありたい」とエースの自覚も出てきた。
 課題の克服にも精を出す。
「姿勢を低くできなくて、ペナルティを取られてしまう。タックルが苦手なんです」

 努力の原動力には中学の恩師、梨木信行先生の存在を挙げる。
「中学ではいろいろと問題を起こしてばかりだったのですが、その度に守ってくれました。感謝しかありません。おかげで高校にも入れましたし、恩返しのためにもいまはとにかくラグビーを頑張りたいです」

 ラグビーと出会ったのはその中学1年時。先生の勧誘に屈した。
 深谷市立明戸中学校には、ラグビー部とテニス部の2つしかクラブがなかった。

「どちらかには入らないといけなかったので、ラケットを振るつもりだったのですが…(笑)。でも、ラグビー部に入って正解でした。仲間がたくさん増えました」

 本格的にスポーツを始めた初めての競技だったが、そのサイズをすぐに生かせた。
 ラインアウトでは敵なし。ボールキャリーでも前に出られた。手の長さを生かしたスティールも得意だ。

 しかし高校でははじめ、ラグビーを続けない予定だった。「デジャブでした」と表情を崩す。

「横田(典之)監督に入学説明会でラグビー部に来いと。入学する前から決まっていました」

 クマタカ、クマコウの愛称で親しまれる熊谷高校は進学校の一つとして知られる。
 自由な校風はラグビー部にも浸透、練習メニューは選手たち自身で策定している。

「試合でここが足りないと思ったら、次の週は重点的にやったり、自分たちの責任で行動しています。その分、一つひとつの練習を大切にしたいという気持ちが強いです」

 今季は新人戦で4位、県総体は8強で敗退した。
 ただ、冬は熊谷工に7-20、春は本庄第一に12-17といずれも競っている。夏休みの練習試合では熊谷工にもリベンジできた。

「春まではセットプレーが不安定で負ける試合が多かったので、責任を感じていました。基本の動作を見直して、バリエーションも増やして秋は臨みたいです」

 今年の花園は記念大会のため、埼玉に出場枠が2つ与えられている。

「チャンスです」

 11月8日には本庄第一との準決勝を控える。トールマンの腕の見せどころである。

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