【南アフリカ記者コラム】NZ戦第2戦は「史上最高の40分間」。

先週末、ニュージーランド・ウェリントンでおこなわれたテストマッチで、南アフリカラグビーの未来がまさに花開いた。
「シャンパンラグビー」のような爆発的なパフォーマンスで、スプリングボクスはおそらく史上最高のテストマッチを披露した。
これは大胆な主張だと理解している。
しかしボクスが長年のライバルをアウェーで圧倒し、後半に連続で36得点したパフォーマンスを見た人なら、この試合が「歴史的なパフォーマンス」であったことに疑いはないだろう。
ボクスは前半、7-10でリードされていた。しかし後半に5トライを奪い、最終的に43ー10で勝利した。
トライは合計で6本を挙げ、さらに数本のチャンスも残していた。
この33点差は、オールブラックス史上最大得失点差での敗戦であり、南アフリカにとってもNZ戦での最多得失点差での勝利である。
2年前にワールドカップのウォームアップゲームとしてトゥイッケナムで記録した、35-7を上回るものだ。
ラシー・エラスマスHCが月曜日にチームを発表した際(前週のオークランドでの7点差の敗北を受け、まさかの試合6日前に発表)、多くの南アフリカ人は、彼が選んだ経験の浅いBK陣が役割を果たせるかどうか疑問視していた。
しかし、新しい選手たちが例外なく素晴らしいパフォーマンスを見せた。
ダミアン・ヴィレムセ、カナン・ムーディ の両CTB、WTBイーサン・フッカー、FBアフェレレ・ファシ、SOサシャ・ファインバーグ=ムンゴメズル、NO8ヤスパー・ヴィーセ、控えではSOマニー・リボック、LOのRG・スナイマン、PRウィルコ・ロウ、HOヤン=ヘンドリック・ウェッセルズ、SHグラント・ウィリアムズ、CTB/FBアンドレ・エスターハイゼンが圧倒的なプレーを見せ、チームの将来を支える軸を示した。
これは古参の選手たちの時代が終わったという意味ではない。
WTBチェスリン・コルビ、FLシヤ・コリシ、FLピーターステフ・デュトイ、FLクワッガ・スミスも圧巻のパフォーマンスを見せた。
SOハンドレ・ポラード、LOエベン・エツベス、CTBダミアン・デアレンデ、CTBジェシー・クリール、WTBカート=リー・アレンゼのような不在の選手も、まだ多くの貢献が期待できる。
これらの「新しい」選手の中には、実際にはボクスのレギュラー経験者もいるが、直近の2つのワールドカップサイクルの中ではヴィレムセとスナイマンの二人だけである。
しかしヴィレムセは最近、ケガや自信の欠如に悩まされていた。
エラスマスHCの解決策、あるいは賭けとも言える判断は、彼を初めてインサイドCTBとして先発させることだった。
そこで素晴らしいパフォーマンスを見せ、ファシが足首を負傷した前半20分以降はFBに移動した。
CTBでの密集プレーのスキルは圧巻で、オールブラックスのディフェンスに大きなパニックを引き起こした。FBに回ってからは、パス、キック、ランニングを駆使してチームをコントロールし、ゲームマネジメント能力も発揮した。
彼の多才さとチームに不可欠な選手であることをあらためて証明した。
彼らはイーデンパークでの敗北(オールブラックスは1994年以来51試合負けなし)から立ち直りつつあり、序盤の兆候では、ボクスファンはまたフラストレーションの溜まる午後を迎えるかと思われた。
しかし、前半にLOのルード・デヤハー、FBのファシ、SOのムンゴメズルを負傷で失った後も、前向きであり続けた。
ハーフタイム後、ボクスは「テストラグビー史上最高の40分間」と称されるプレーを展開したと、多くのSNSの評論家が述べている。
最終的にボクスが挙げた43点は、2000年にエリスパークで記録した46点(46-40)にはわずかに届かなかったが、オールブラックス戦での歴代2位の得点となった。
ただ、6トライもできたからといって、この試合が「どこからでもボールを展開する」ラグビーだったと考えるのは間違いだ。
これは最近、ヨハネスブルグでオーストラリアに敗れた原因でもある。
やはり勝因はボクスの伝統的な強みが出たからだ。
スクラムやモールの力が存分に発揮され、正確なキックや空中戦での競り合いによってエリアを大きくを獲得した。フッカー、ムーディ、コルビはハイボールで見事なプレーを見せた。
エラスマスHCのもとで、ボクスはオールブラックスに対して直近6試合中5勝、15試合では8勝6敗1分という成績を収めている。
これでラグビーチャンピオンシップのタイトル防衛の現実的なチャンスを手にした。
残り2試合でアルゼンチンと対戦するが、4か国とも2勝2敗で並び、史上もっとも拮抗した展開となっている。
ダーバンとロンドンでプーマスにボーナスポイントを獲得する勝利を収めれば、ボクスはタイトルを防衛できる可能性が高い。
さらに先を見れば、この試合はボクスの「衰退説」が早計であることを世界に再確認させる大勝利であり、2027年のワールドカップ3連覇の可能性も十分に見えてきた。