グラウンド内外で引き締め役。日本代表・長田智希の仕事ぶり。

勤勉だ。
ラグビー日本代表の長田智希は、8月下旬より参戦のパシフィック・ネーションズカップ(PNC)でここまで全3試合に出場。2戦目からはWTBのスターターとなり、球を持っていない時も輝く。
キックチェイスが光るのだ。味方が蹴ったボールを追い、捕球役の手前まで走り込んで圧をかける。チームに求められる下働きを全うする身長179センチ、体重90キロの25歳は、淡々と述べる。
「コンディションはいいと思います。ボールを持ってないところでの働きは代表ですごく求められている部分なので、意識して取り組みたいです」
渡米中の現地時間9月14日、準決勝に臨んだ。対するトンガ代表のせり上がる防御の裏側へ、ジャパンはよくキックを通した。その行き先を目がけて、長田は走った。頑張りを実らせ、62―24でファイナルに進んだ。
発足2シーズン目となる現体制にあって、自らのスタンスを述べる。
「見てもらってもわかるように、去年に比べて試合の中でのキックは増えている。キックを有効的に使う時に大事だと僕が思っているのは、周りがいかに反応してチェイスするかです。キック自体の精度がそんなによくなくても、チェイスがよければ結果は変わってくる。(WTBなどの)アウトサイドBKは、(キックをする)内側の選手の判断によい反応をして、よいチェイスをして、よい結果を生むことを意識します」
同20日、フィジー代表との決勝に挑む。前年度のファイナルで敗れた強豪とぶつかるに際し、高い弾道への対処の質も上げたいと語る。
クオリティーをチェックするのはグラウンド外でも然り。ワールドカップ経験者でもあるこの人は、オフ・ザ・フィールドに関するリーダー陣の一員でもある。
「外国人選手もたくさんいますが、日本を代表して戦うなら日本のカルチャーを大事にしよう…と話しています。僕らからしたら当たり前な整理整頓、挨拶、時間厳守といった細かいところです」
生来、このエリアを主導していたのは原田衛。怪我で途中離脱した共同主将だ。長田は原田と同学年で、年代別の代表でも一緒だった。盟友が抜けたスコッドにあって、23歳のワーナー・ディアンズ共同主将を落ち着いてサポートする。