日本代表 2025.07.17

日本代表・竹内柊平、ウェールズ代表戦の痛恨シーン&手応え語る。

[ 向 風見也 ]
日本代表・竹内柊平、ウェールズ代表戦の痛恨シーン&手応え語る。
ボールキャリーする竹内柊平(撮影:早浪章弘)

 これが世界の水準か。竹内柊平は再確認した。

 7月12日、兵庫・ノエビアスタジアム神戸でウェールズ代表とぶつかった。

 5日には福岡・ミクニワールドスタジアム北九州でも対戦し、右PRにあって異例の80分フル出場で24-19と勝利。今度の一戦では、史上初となるハイパフォーマンスユニオンからの連勝をかけてフィールドに立っていた。

 2点差を追う後半30分、敵陣10メートル線付近右でラインアウトを獲得も、最初のフェーズでスティールされる。

 走者の持つ球に絡みついたFLのジョシュ・マクラウドを、ちょうど近くにいた竹内は引きはがせなかった。ノット・リリース・ザ・ボールの反則でペナルティーキックを与えた。

「1人でスティールしてくるというより、組織でスティールしていた。計算されていました」

 確かにこのシーンで、マクラウドは仲間と2人で走者を囲み、捕まえ、倒したと見るや少しだけ手を放してからボールへ食らいついていた。

 日本代表の援護役を含めた2名の上から覆いかぶさるような形になり、竹内は寄る前に勝負をつけられたのだ。

 さらにさかのぼれば、ラインアウトの位置から1次攻撃の接点まで移動する竹内が、ウェールズ代表の防御ラインとやや交錯させられているような。グレーゾーンの駆け引きで、ランナーへの援護を遅らせられた。

「(一枚岩の防御ラインで)綺麗に上がって、インサイド、アウトサイドで、ボールを持っていない選手へ…というシーンが見られました。研究されているな…と。特に後半の足が止まった時間帯、相手のリザーブの選手がそれ(日本代表のサポート選手へのアプローチ)をして、前半から出ていた選手がスティールを…。悔しいですね」

 その後は一進一退も、結局、35分に突き放された。22-31。さらに37分頃には、スクラムから攻めで、乱れたパスを拾った走者がダブルタックルとターンオーバーを食らった。

 総じて地上戦でボールリサイクルを鈍らされ、ハイテンポな攻めが影を潜めた。本来のスタイルを貫くための心構えについて、竹内は続けた。

「…言い訳なしに、ボールを保持できるようにならないといけないですね」

 手応えも掴んだ。

最前列を担うひとりとして、「試合を通していいスクラムが組めたと思っています」。途中出場から約1分後の38分頃、敵陣中盤左の1本でペナルティーキックを誘った。敵陣ゴール前まで進み、ハーフタイム直前に自らトライ。10-21と序盤のビハインドを詰めた。

 途中で散見された判定の妙からも、学びを得たという。概ね好感触だった。

「前半は向こうがレフリーとトークしてうまく組んでいる印象。後半はファースト(日本代表が1本目)でいい形を見せられた。逆に(その後、ウェールズ代表が)負けたら引いてきたりとかして、(日本代表が合図より早く組んだと見られて)アーリープッシュを取られたり。そこのコントロールは、今後のインターナショナルの試合で大事になってくると思いました。僕らはずっとスクエア(ゴールラインと平行)な絵を見せることができた。相手が回ったり、落ちたりしてくるのに対して強いヒットをして、そこから低くなる…。それは(苦しんでいた)前半のパックもできていました」

 身長183センチ、体重115キロの27歳。宮崎工高、九州共立大と全国的な実績の薄い学校を経て、2020年にNTTコミュニケーションズシャイニングアークス東京ベイ浦安入り。クラブが浦安D-Rocksへ再編後も在籍し、昨季限りで退団した。23年のテストマッチを通し、海外挑戦への思いが強まったからだ。

 進路未定のままこの2連戦を戦ったうえで、吉報を待つ。7月の代表戦ではハイパフォーマンスが評価されたが、「これで『僕がどうにかしよう』とか思い始めると、空回りをする。自分の仕事をもっと極め、チームに勢いを出せたら」と己に言い聞かせていた。

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