国内 2025.06.17

リッチー・モウンガの優勝メソッド。「小さなことが、大きな成功に」

[ 向 風見也 ]
リッチー・モウンガの優勝メソッド。「小さなことが、大きな成功に」
骨折した右手でプレーしたリッチー・モウンガ(撮影:早浪章弘)

 準決勝で右手を骨折し、約1週間後のファイナルに強行出場。ジャパンラグビーリーグワン1部で2連覇を達成した東芝ブレイブルーパス東京のリッチー・モウンガは、クライマックスのプレーオフで厳しいシチュエーションを強いられながらも活躍した。

 東京・国立競技場での頂上決戦では、前半8分に先制トライを挙げ、後半7分にはスコアに繋がる好ランを披露した。総じて好配球を貫き、クボタスピアーズ船橋・東京ベイを18-13で下した。優勝に喜んだうえ、個人でも2シーズン連続でMVPに輝いた。

「これを目指して1年間やってきた。素晴らしいチームメイト、コーチたちに支えられました」

 本人がこう笑ったのは6月2日。栄えあるフィナーレを迎えた翌日、都内ホテルでリーグ主催のアワードに参加した。前夜は祝杯を挙げて、ご機嫌な様子だった。

「毎年ここ(頂点)に来ることが保証されているわけではありません。素晴らしいことを実現したので、それにふさわしいお祝いをしなくちゃ」

 深夜に入ったカラオケ店で何を歌ったかと聞かれれば、手元のテーブルを叩きながら「まっすぐー! まっすぐー!」と熱唱。隣に座る通訳担当者が「長渕です」と補足した。長渕剛の「Myself」を楽しむ前には、たくさんのビール、焼酎を口にした。

「アイ・ラブ・焼酎。リーチ(マイケル主将)に教わりました」

 ニュージーランド代表56キャップの31歳。来日前の2023年まで母国で所属していたクルセイダーズでも、スーパーラグビー7連覇を果たしている。

 ブレイブルーパスが勝ち続けるにあたり、NO8で船頭役のリーチはモウンガの経験値に助けられたと話している。

 頂点まで駆け上がる過程で、モウンガが仲間に伝えてきたことは何か。自ら明かした。

「何かを成し遂げたい時はそこ(決勝などの目標)だけを見るのではなく、その手前にある細かいこと——ひとつのキャリー、ひとつのクリーンアウトなど——をどれだけ正確に遂行し続けていけるかが大事」

 常に自分たちにとっての基本に立ち返ることで、チームプレーの水準を保てたのだろう。身長176センチ、体重83キロの得難きプレーメーカーは、「小さなこと(地道な積み重ね)が、大きな成功に繋がる」とも語った。

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