日本代表 2025.06.11

日本代表候補・竹之下仁吾、好アピールにも奢らず。

[ 向 風見也 ]
日本代表候補・竹之下仁吾、好アピールにも奢らず。
クリニックでの指導後、取材に応える竹之下仁吾(筆者撮影)

 才能の片鱗を示した。

 明大ラグビー部3年の竹之下仁吾は、6月上旬、長野の菅平高原で日本代表候補合宿に参加していた。

 7日の午前中は、本格的な実戦形式練習に励んだ。関係者によれば選考に影響大と見られるこのセッションで、最後尾のFBを担う20歳は好ランを披露。身長180センチ、体重86キロのサイズで人をかわし、駆け抜けるよさを示した。

 もっとも、自己評価は辛かった。直後にエディー・ジョーンズヘッドコーチからレビューされたのを踏まえ、こう振り返る。

「何個かいいシーンはありましたけど、ディフェンスのところ、ジャパンが大切にしている立ち上がり(の速さ)のところが足りていないと指摘されました。いいランがあってもそこ(問題点)が目立ったらセレクションにも影響する。いいところは伸ばしつつ、悪いところはオフ明け(取材の翌々日)の練習で改善できたらと思います」

 国内リーグワンで4強以上に入ったチームの一部選手は、菅平でのハードルを経ずしてセレクトされる見込みだ。代表未経験の竹之下は簡潔に述べる。

「ひとつひとつのプレーがセレクションの対象。精度を高め、全力を出せるように頑張っていきたいです」

 報徳学園高時代に高校日本代表となり、昨夏は20歳以下日本代表として動いた。ここ1年ほどは若手育成機関のジャパンタレントスコッドプログラム、代表予備軍にあたるJAPAN XVにも混ざり、現体制の目指す「超速ラグビー」というコンセプトに親しんでいる。

「基本的なシステム(それぞれの部門で用いられるチーム戦術)は変わらない。カテゴリーが上がってもすぐに対応できました。そのうえで、(今度の代表候補合宿では)強度の高いリーグワンの方々とやらせてもらっています。コンタクトレベル、体力の消耗の仕方は大学レベルとは違います。まずは(自身の)フィジカルを上げないと。通用しているランは、積極的に出していきます」

同じポジションの同学年で早大3年の矢崎由高は、すでに正代表で初陣を飾っている。竹之下は「由高がデビューしたのはいい刺激」とし、今年7月の対ウェールズ代表2連戦でチャンスを得たいと語る。

「今度は、自分が出られるように。(チャンスは)ゼロではない。ただ、ちゃんとアピールしないと。切符を掴めるようにしたいです」

 午後は、長野県内のラグビースクールの小学生を集めたクリニックで指導。「楽しそうにやってくれて、教えていてるこっちも楽しくできました」と微笑んでいた。

クリニックで笑顔を見せる竹之下仁吾(筆者撮影)

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