![【連載】プロクラブのすすめ㉕ 山谷拓志社長[静岡ブルーレヴズ] クラブに多少の犠牲があっても、全体が最適かどうかが大事。](https://rugby-rp.com/wp-content/uploads/2025/06/vol25.jpg)
【連載】プロクラブのすすめ㉕ 山谷拓志社長[静岡ブルーレヴズ] クラブに多少の犠牲があっても、全体が最適かどうかが大事。
――一方で以前も触れましたが、スポンサーは成果が出ました。
営業スタッフ4人という体制で200社を超えましたから、1人当たり50社以上担当している計算です。かなりの社数だと思います。
ヤマハ発動機を除いたスポンサー売り上げも4億を超えて、4億3000万程度まで来ました。昨季は3億5000万ぐらいだったので、大きく伸びました。
ヤマハ発動機を除いた全体の売り上げでいえば、7億2000万ぐらいまで来ました。おそらくリーグワンの中でもかなり高い方だと思います。
この数字を早く10億にしたいです。1、2年のうちに実現したいですし、チームの戦績も上昇してきた中では成績をお金に変えるという意味で達成しないといけない状況になってくると思います。
――売り上げ10億円の目標を達成できた時に、実現したいことはありますか。
以前から話している新しい練習施設を作りたいですし、選手の報酬原資として拡充していかなければいけないとも思っています。
選手の報酬原資が多い方が当然、強いチームになるし、強いチームになっていくと、それだけ評価される選手が増えて、金額が上がっていきます。
強くなった時にお金がないから良い選手を放出してしまうということは他競技のリーグでもよくある話ですが、われわれとしては強くなった時にちゃんとその選手を適正に評価できる予算組みをしていきたい。
常に強く、優勝争いができるチームになっていくことが理想的ですよね。
――選手の人件費はやはり上がっていますか。
上がっていく傾向にあると思います。どのカテゴリが、ということよりも全体的にです。
カテゴリCはもちろん、希少性の高いカテゴリAの外国籍の選手の評価も高まるのは自然な流れです。
2026-27シーズンからカテゴリは細分化されますが、カテゴリAの海外出身選手が減ったとしても、今度は優秀な日本人選手の取り合いになるので人件費の削減にはあまり繋がらないと思います。
本来必要なのは、サラリーキャップの議論だと思います。
サラリーキャップを設定するべきという声は常にリーグの中にもあるのですが、なかなか踏み切れていないのが現状です。
戦力均衡や健全な経営を実現することが重要なのですが、当然、選手の権利とのバランスも必要です。
報酬金額の上限額をどこに設定するのか、いまのビジネスの実態や各チームの売上状況を踏まえて妥当な数値を設定しないといけません。なので、時間のかかるプロセスではあるんです。
海外では、サラリーキャップの設定においては必ずリーグと選手会が労使交渉をします。
リーグ全体がこれだけ儲かっているのであれば、これぐらいのキャップにしようと。選手たちも当然ないものをくれとは言えないわけですから。
NFL(北米プロアメフトリーグ)では5~10年に一度交渉がおこなわれます。こういう売上や利益になったらキャップ(上限額)を上げる、一方でコロナ禍のような非常事態になったら下げるといった取り決めをするんです。